
これからの季節、山に入るときに気になるのが虫刺され。暖かくなると虫たちも活動が活発化しますし、ランナーも軽装になり肌の露出が大きくなるので虫刺されのリスクも高まります。
この「虫刺され」。侮るなかれです。
虫除けスプレーは、野外アクティビティーにおいて「忘れ物トップ3」におそらく入るぐらい忘れがちなものですが、意外と重要。(という僕自身がしょっちゅう忘れているのですが笑)
実は昨年、虫よけ対策として有名な?「ハッカスプレー」を自作して、何度か試していたのですが、正直あまり効果を感じられず…。普通に刺されるてるやん…と。
しかもハッカ特有のあの香り。僕はけっこう好きなのですが、気になる人ももちろんいますよね。
一度トレイルの途中で、ハッカスプレーをプシュプシュつけまくった後にトレイルを走っていたら、近くにいたハイカーさんが「あら、何か匂わない?」とつぶやいていました。
不快でそうつぶやいたような感じではありませんでしたが、山の中では極力「自然の香り」を味わいたいと思うので(僕がそうなので)、ハッカの香りを振りまくことに少し後ろめたさを感じるようになりました^^;
- 回りの人に迷惑(な場合もある)
- 効果があるのか疑問
こんな2点を理由に、今年はハッカスプレーはちょっとやめようかなと思っています。
じゃあ今年はどうしよう、と思っていたところ、いつもの好奇心がむくむくと湧き出てきていろいろと調べてみると、面白い最新事情が分かってきました。
注意すべき虫たち
「虫刺され」とはいってもいろいろ。まずはどんな虫たちがいるのかを押さえておきましょう。(虫が嫌いな方のためにイラストにしておきます笑)
スズメバチ

6~11月が活動期。暖かくなると活動的になってくる。攻撃性がとても強く、見かけたらとにかく近寄らないこと。ハチの天敵であるクマの色が黒に近いことから、黒や濃い色を「敵」とみなし攻撃してくる。なるべく白や明るめの服装が良い(蜂の駆除業者はみんな白の作業服を着ています)。クマのプーさんがはちみつをよく飲んでいるシーンを思い出すとよくわかりますが、クマは蜂にとって天敵なのがわかるかと(笑)
アブ・ブヨ

ハエによく似ていて、“刺す”のではなく皮膚を“噛み切る”ので、瞬間的に痛みを感じることがある。きれいな水辺に多く、川や渓流の近くは注意が必要。アブとブヨの違いは体の大きさ。大きいほうがアブ(2-3㎝)、小さいほうがブヨ(2㎜程度)。刺されると患部周辺が赤く腫れあがり、痒みが1週間ほど続く。
ヒル
※ヒルはイラストでも気持ち悪かったので割愛(笑)
気温が25℃を超える5~10月頃までの、多湿な森林に生息。梅雨入り後から夏の終わりまでは警戒が必要。噛まれてもヒルの唾液に麻酔成分があるため痛みを感じないまま血を吸われる。また、血液の凝固作用を妨げる成分も含まれていて、しばらくは血が止まらず流血する。
蚊

夏場の草むらや、雨の降った後は特に発生しやすい。昼夜問わず活動するが、キャンプでは夜に被害に遭う確率が高い。汗や体温などに反応して寄ってくる。
どいつもこいつも厄介ですね。
蜂とヒルについては、僕はまだ被害を受けたことがないですが、ブヨは普通にあります。山にいくと4回に1回ぐらいは刺されているような…。ブヨに刺された翌週は痒くて仕事に集中できません(笑)
アナフィラキシーショック
次に、この言葉も押さえておきましょう。
言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、蜂に刺されると「アナフィラキシーショック」という恐ろしい症状に繋がる危険があります。
一言でいうと「過剰なアレルギー反応」のこと。
急激な血圧低下や呼吸困難、全身にアレルギー反応がでて、処置が遅れると、最悪の場合15分程度で死に至る可能性もあるという非常に怖い症状。
先述の通り、上で挙げた4種類のうち蜂の毒には要注意です。
以下、コトバンクより抜粋。
●外部からアレルゲンが体内に入ることで急激に引き起こされる全身性の強いアレルギー反応。
●ハチに刺されたり、特定の食物を口にしたり、あるいは薬物の投与、ラテックス(ゴム)との接触などが原因。
●症状が呼吸器や皮膚など限られた範囲ではなく、全身に現れる。
●過剰な免疫反応により、血管が拡張して血漿(けっしょう)成分が漏れ出て血圧の低下やむくみ、意識消失などがみられるものを「アナフィラキシーショック」と呼ぶ。
●症状が起こるのは、すでに1度は原因物質が体内に入ったことがあり抗体を持っている場合。また、同じアレルゲンに抗体を持つ人の間でも症状の出方はそれぞれ違い、誰もが2度目の摂取、接触でショックを起こすわけではない。
これ読むとほんとに恐ろしいですね。蜂なめてた。
自然の中でのアクティビティーを楽しむためには、やはりしっかりとした知識を持っておく必要がありますね。
虫除けスプレー成分 「ディート」vs「イカリジン」
虫除けスプレーにおいては、従来日本で認可されていた虫除け剤は「ディート」という成分のみでした。
が、
日本で認可されているディートの最大量は、外国でよく使用されている量の「1/3程度」。当然効果も薄くなります。さらに困ったことに「安全性に問題がありそう」ということが指摘されていると。
それはあかん。
そんな中、ディートに代わる「イカリジン」という虫除け剤が日本でも昨年から認可され、そのイカリジン配合の虫除けスプレーがあるようなのです。
イカリジンの「効果」と「安全性」
で、気になるのは「その効果は?」「安全性は?」といった点。
ディートとの比較をしながら説明していきます。
効果
厚生労働省傘下の医薬品医療機器総合機構(薬などの認可をする機関)が出している「イカリジン配合の虫よけスプレーの認可を求めた審査報告書」によれば、
「10%ディートと5%イカリジンは同等の効果」とのこと。
ただし、ディートでは虫よけ効果がある「ノミ、イエダニ、サシバエ、トコジラミ(ナンキンムシ)」にはイカリジンは効果がないそうです。
とはいえ、「蚊、ブヨ、アブ、マダニ」の4種類には効果が認められているようなので、まぁよしとしましょう。
安全性
次に安全性。まずは「ディート」について。
ディートという成分は、消防法でなんと「石油類」に分類されるそうです。(これまで石油を肌にスプレーしていたのか…)
石油と聞いただけで「体に悪そう」というのは容易にイメージできると思いますが、具体的には、石油が溶かしてしまうプラスチックやレーヨン繊維などに影響を及ぼすようです。
さらに安全性を語る上での極めつけですが、赤ちゃんにはディートは使えません。これがすべてを物語っていますね。
赤ちゃんに限らず、子供に対しても厚労省から下記お達しが出ています。
小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。
・6か月未満の乳児には使用しないこと。
・6か月以上2歳未満は、1日1回
・2歳以上12歳未満は、1日1~3回
「可愛い我がベイビーが蚊に刺されたら大変!」とディートが含まれる従来の虫除けスプレーをシュッシュッとかけていませんでしたか?
では次に「イカリジン」の安全性について。
結論からいうと、先程出てきた医薬品医療機器総合機構では「安全性について問題なし」と結論づけています。
審査報告書が良いといっているから本当に大丈夫かというと、そこは正直わかりませんが笑、イカリジンは2016年時点で世界54か国で既に発売・使用されているとのこと。要するに世界中で使われているので、これは一定の信頼に足る情報かと思います。
ちなみに話が逸れますが、
安全性テストにおいては、ラット、イヌをはじめ、人も参加しています。いわゆる「治験」です。しかも、皮膚に薬剤を塗布するパッチテストだけではなく、静脈投与という方法でもテストをしているようで…。
怖い…
でもこのような人たちがいてこその!ですからね。
話を戻して。
イカリジン配合の虫除けスプレーは「お肌にやさしい」「子供から大人まで使える」「家族みんなで使える」といったキャッチコピーで「安全性」を全面に打ち出しています。
このことからも、少なくともディートよりは良さそう、という結論付けはできそうです。
それともうひとつメリットが。
ディートでは特有の不快臭があるそうなのですが、イカリジンは「無香料」とのこと。冒頭お伝えしたハッカ臭を振りまく後ろめたさも解決されそうです(笑)
イカリジン配合の虫除けスプレー
実際どんなものがあるの?ということで、いくつか紹介します。
確認してませんが、近所のドラッグストアにも普通に売ってると思います。
いやー、虫除けスプレーの世界も進化していたんですね!
あとは実際に使ってみて効果がどれだけあるか。
とりあえず今週末のスパトレイルで試してみようと思います。
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