皆さんは普段トレランに行くときに本は持っていきますか?
トレランにおいては「いかに荷物を軽くするか」という命題があるので、「書籍」は早い段階で削られる運命にあるとは思いますが、僕の場合は普段山に行くときも必ず一冊は忍ばせていきます。
行き帰りの電車の中、山旅で宿泊する山小屋やテントの中、本を読む時間ってけっこうありますからね(特に後者は至福の時間ですね~。※テン泊未経験・笑)。そんなときのために本は必須!
(まぁ実態としては、8割方、朝早くて寝るか、走り終わって疲れて寝るか、なんですが笑)
その時々のシチュエーションや気分に併せて、読むジャンルはさまざまですが、このブログでは、「スポーツ」「運動」「アウトドア」「健康」「山」など、本ブログと親和性のある書籍について、今後紹介していきたいと思います。
是非お付き合いいただければ幸いです。
ということで、記念すべき一冊目はこちら。
「モンベル 7つの決断 アウトドアビジネスの舞台裏」(辰野勇)
皆さん大好き「mont-bell」です。僕もシェルはモンベル製(安い!)
このモンベル創業者である辰野勇さんが書いたブランドヒストリーです。
辰野氏がどのような想いでモンベルを創業し、愛され続けるブランドとしてここまで成長させてきたかが「7つの決断」とともに書かれています。
なんだろなー、とりあえず、読むとモンベルがさらに好きになりますね(笑)
目次
章立てはタイトルにちなんで下記の通り「決断」ごとに。
第1章 28歳、資金ゼロからの起業 - 第1の決断
第2章 小さな世界戦略 - 第2の決断
第3章 パタゴニアとの決別 - 第3の決断
第4章 直営店出店と価格リストラ - 第4・第5の決断
第5章 モンベルクラブ会員制度の発足 - 第6の決断
第6章 アウトドア義援隊 - 第7の決断
第7章 山岳雑誌「岳人」発刊 - 第8の決断
第8章 モンベルの経営流儀 - 決断を支える哲学
まず、この目次を見た時点で「7つじゃないじゃんっ!」というツッコミをしたのは僕だけではないでしょう(笑)(章立ては7つですけどね…)
ところで皆さん知ってました?
目次を見て「おやっ?」と思った方も多いと思いますが、僕がこの書籍を通して初めて知った「意外」だったことがいくつかあります。(モンベル以外の事柄も含めて)
- パタゴニアとモンベルがライセンス契約を結んでいた時代があった。
この2大登山用品メーカーにつながりがあったとは驚き。
- パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード氏は、現ブラックダイヤモンド(アメリカの登山用品メーカー)の創業者でもあった。
モンベル全然関係ないけど。いろいろと繋がっているんですなー。
- モンベルクラブ会員って実は50万人(書籍発行の2014年8月時点)もいた。
調べてみると年会費は1500円。つまり会費収入だけで、1500円×50万=「7億5000万」!すごい。
- 山岳雑誌「岳人」はモンベルが出版していた。
厳密にいうと、「元々、中日新聞社が発行していたものを2014年にモンベルが引き継いだ」というのが正解。書店でよく見掛けてはいて、モンベルのTシャツに描かれている「アイツ」が表紙になっていたので気になってはいた雑誌。
体裁が他の雑誌と違って(いい意味で)「シックで古くさい」ので(「岳人」の書体とか特に)、どちらかというとシニア向けの雑誌なのかなと思って、これまで手を出していなかったのですが。まさか発刊元がモンベルだったとは。しかも僕が「シックで古くさい」と感じていた表紙も、他の登山系雑誌と一線を画すための「あえて」の戦略だった模様^^;
ちなみに「アイツ」とは「コイツ」です。
▼(2017年2月号)モンベルのTシャツによく出てくるヤツらの仲間(?)。
直近3ヶ月分はこんな感じ。
▼(2017年6月号)
▼(2017年5月号)あ、ここにもいますね。
▼(2017年4月号)こういうちゃんとした人間版は珍しい。
畦地 梅太郎(あぜち うめたろう)さんという方の版画作品だったんですね。
(※上記HPのトップ画像の版画がめっちゃかわいいです)
「岳人」
トレイルランナー向けの雑誌ではないので、僕のニーズとはちょっと異なりそうですが、最近「山自体」が普通に好きになってきたので、一度買ってみようかな~。
胸に響いた言葉
「7つの決断」に関する詳細は書籍に譲るとして、「2つだけ」僕の胸に響いた言葉を紹介します。辰野氏の「経営哲学」に関わる部分です。
いまやグローバル企業の経営者だけあって両方とも英語!書いてあることはシンプルだけど横文字なので格好いい!(笑)
Do not worry. Just do it. Do not regret.
心配ばかりしないでやってみようぜ。そしてその結果を後悔しない!
Do what you like. Like what you do.
好きなことをやりなさい。そしてやっていることを好きになりなさい。
シンプルな内容 且つ よく耳にする言葉ではあるのですが、両方ともに、最後の一文が登山家らしいな、と。
つまり、「Do not regret」と「Like what you do」。
この2つの言葉から「前向きさ」とか「忍耐強さ」なんかも僕は感じ取りました。うーん登山家らしい。
UX企業としてのモンベル
最後にまったく毛色の違う話をします。
実は今ちょうど読んでいる別の書籍で「UXの時代 IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか」という本を読んでいるのですが、なんとビックリ、ここにモンベルが出てきました。(「UX」とは「User Experience」の略、つまり「ユーザー体験」のこと。詳細は割愛します。)
もちろん、UXビジネスを体現している企業の例として、です。
いわく、モンベルは単なる「登山用品メーカーではない」と。
モンベルクラブという会員組織を80年代に発足させてからは、96年の会員誌発行、01年のウェブサイト立ち上げなど、時代に合わせてユーザーとのコミュニケーション手段を充実させている。
さらには、全国の店舗を拠点として多種多様なアウトドアイベントを企画し、会員の活動を活発化させ、そこでは会員同士が繋がれる機会も提供。
モノの価値を伝える単なる登山用品メーカーから、ユーザーの「体験価値」を提供する企業へと進化してきた事例として、モンベルが取り上げられていたのです。
「モンベル7つの決断」を読んでいるときはそんな観点では読んでいなかったのですが、なるほどなぁーと後付けですが納得した次第です。
ちなみに僕も読みながら知ったのですが、この書籍の著書である松島聡氏が経営する「シーオス」という会社は、トライアスロン雑誌で有名な「LUMINA」の発行会社でした^^;
LUMINAは一時期うちでも読んでいた時期がありました。
トライアスロン雑誌を発行する会社の社長なので、当然トライアスロンやアウトドアの愛好者。そしてモンベルクラブの会員でもあるようです。
これを知ると、LUMINAの戦略も気になるところですが、話が逸れるのでやめます。
「UX企業としてのモンベル」という視点で、「モンベル7つの決断」を読んでみると、より一層モンベルの理解や愛着が深まるかもしれません。
まとめ
ということで、以下の方におススメします。
- モンベルが好きな方
- モンベルの創業ストーリー、成長ストーリーに興味がある方
- モンベルの「7つの決断」の舞台裏が知りたい方
- UX企業としてのモンベルの側面を知りたい方(※UXについての言及はありません笑)
- 文庫サイズの本をお探しの方(トレランザックにちょこっと忍ばせましょう)
このあとは「クマ問題を考える」の本が控えています(笑)
自分はいったいどこの方向に進むんだ…
ま、お楽しみに^^
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