ランニング中のマストアイテムのひとつといえば「イヤホン」。
有線イヤホンの時代からはじまりその後Bluetooth接続に進化したものの”首周りのコード”はなかなかなくならず個人的に”イマイチ”な時代が続いていたが、ようやく「完全ワイヤレス」が定着してきた。
以前の”コードあり”の時代にはもう戻れない。ランナーというのは、とにかく「余計なストレス」から解放されたいのだ。
しかしそんな超便利なワイヤレスイヤホンにも常に付きまとう「リスク」がある。そう、「落下(紛失)」だ。
日常使いの徒歩環境であれば落下させることなどそうそうないのだが、ランニングとなると話は別。完全ワイヤレスに踏み出せないランナーの懸念点もきっとそのあたりだろう。
ちなみに僕は、普段はAirPodsProを愛用している。日常使いはもちろんのことランニング中も然りなのだが(以前AirPodsProとは別にランニング用のものがあったのだが、案の定紛失…)、ランニング時はいつも「いつ落とさんものか…」とヒヤヒヤしている。
特に僕の場合、左耳が外れやすく、汗をかく夏場などは落下リスクが一気に高まる。
そんな僕の抱える問題(=AirPodsPro失くしたくない!)をこの「VERSA」は解決してくれるのか。はたして。
XROUND社について
まずはXROUND社について。
XROUND社は台湾発の音響ベンチャー。ベンチャー界隈に身を置いている僕にとって「ベンチャー」と聞いた時点でちょっとアンテナが反応してしまうのだが、なにやら「熟練の音響設計エンジニアと調律師、音響マニアがともに立ち上げた台湾発のオーディオブランド」とのこと。
XROUND社について、サイトから抜粋。
・「聴覚体験を再定義する」がコンセプトの台湾音響ベンチャー
・熟練の音響設計エンジニアと調律師、音響マニアがともに立ち上げた台湾発のオーディオブランド
・XROUND社が開発した音声演算処理技術を利用
・いかなるステレオ音源もXROUND演算処理により、即時に迫力のシアターサラウンドに生まれ変わる
・世界最小オーディオホームシアター「XPUMP」
XROUND公式サイト
ふむふむなるほど。
こちらを拝見するに、強み(拘り)はどうみても「音質」である。そりゃ、そのメンバーだとそうだよね。
でも……
「え?音質??うーんと、別にランニング中の音楽にそこはそんなに求めてないけど…?」
と思ったあなた!そう思ったのはあなただけではない!僕もだ!!(強調)
なので安心してほしい。大丈夫です、ちゃんと「ランナー目線」でレビューするので。
というか、音質についてあーだーこーだ語れる知見も耳も僕は持ち合わせていないので、そちらについてはレビュー自体ができないw 僕ができるのはあくまで「ランナー目線」でのレビューである。
完全ワイヤレスイヤホン「VERSA」レビュー
そんな音響マニアが投入する次の製品が、今回の完全ワイヤレスイヤホン「VERSA(バーサ)」。
まずは製品サイトから特徴やキーワードをいくつか抽出。
・コンセプトは「極上の心地よさ、だから高音質」
・自分の耳にフィットする組み合わせを選べる「2種類の特製イヤーピース」と「4種類のイヤーフック」
・重量は超軽量「片耳4.5g」
・防塵防水機能「IP67」対応(※IP規格・防水保護構造及び保護等級についてはこちら)
・長時間バッテリー:イヤホン連続使用「8時間」/バッテリーケース連続使用「32時間」
・Qi認証ワイヤレス充電対応
なるほど。確かに「防塵防滴対応」していて、「長時間バッテリー」というあたり、ランニングに使用できそうなスペックを持ち合わせていそうである。
ここからは実際に使用してみての感想を書いていく。
暴風吹き荒れる豊洲ぐるり公園(東京都/江東区)で、平均5:15/kmでペース走を18㎞したときの使用感を「GOODポイント」と「BADポイント」に分けてレビューしていきたい。
GOOD ポイント
GOOD①:「とにかく軽い」
まず感じたのはこれ。とにかく軽い。
以前、AirPodsPro以外で、別のワイヤレスイヤホンを試したことが2回あるのだが、断トツでVERSAが軽い。
軽さとは話が少しずれるが、僕の完全ワイヤレスイヤホンヒストリーを少しだけ伝えておこう。
記念すべき1回目は、高価なAirPodsProに手が出せずに、妥協して購入した中国製の5000~6000円ぐらいのものだった。
初めての完全ワイヤレスイヤホンだったので初めて使用したときは感激したものだが、ペアリングを毎回しないといけないし、その接続がスムーズにいかないことが多く、且つ(今思うと)「デカくて重い」ことなどもあり、やっぱり安い買い物はするもんじゃないなと反省。半年持たずに、AirPodsProの購入を決断。
(※ちなみにVERSAのペアリングは、一番始めに一回だけスマホとペアリングしてしまえが、その後はケースから出した瞬間に接続される)
2回目はとあるメーカーからの依頼で試した某製品。
こちらは「スポーツに特化」を謳っており、機能面では満足していたが、唯一マイナスに感じたのが「重さ」だった。正確な重量は忘れたが、こちらも「デカい&重い」という印象が残っている。
デカいと耳に装着した見た目も「装着」というよりも「装備」に近く、耳に収まるというより、耳から飛び出ている感じ。個人的にはあまりスマートではないなーと感じていた。(最終的には…失くしました・笑)
そして、3回目が今回の「VERSA」。
こいつはとにかく軽い。ほんと軽い。なんと片耳「4.5g」。AirPodsProが5.4gなのでそれよりも0.9g軽い。0.9gにどれだけの差があるのかという点についてはさまざまご意見はあろうが、接地ごとに振動が繰り返される「ランニング」というシチュエーションにおいて、「軽い=正義」であることは間違いない。
ちなみに「軽い」ということは当然「コンパクト」でもあるわけで耳にイイ感じで収まる見た目もGOOD。
GOOD②:「イヤーフックがあるので外れない」
2つ目のポイントは、「イヤーフック」の存在。
ポイント①にも絡む話なのだが、今回ワイヤレスイヤホンを試すに当たって最大のポイントだったのが、「とにかく外れないこと」だった。僕が今一番解決したい問題が「AirPodsProをランニングで使用して紛失したくない」であることは冒頭書いた通りだ。
その意味で「VERSA」はこの問題を解決する現時点でのベストチョイスとなっている。
昨日の豊洲ぐるりペース走でもまったく外れる様子はなかった。AirPodsPro装着時は、外れやすい左耳を頻繁に耳に押し込む作業が発生するのだが、昨日は18㎞走って”修正作業”は数回程度。
そもそもが軽いことに加えてイヤーフックで耳の凹凸部に引っ掛けるので、落ちるリスクは最大限軽減。過去使用してきたイヤホンの中では「ランニング時の外れなさ」は今のところNo.1だ。
GOOD③:「自分の耳に最適なイヤーピースとイヤーフックを選べる」
3つ目のポイントはこちら。
自分の耳の形状に合わせて「イヤーピース5種類」と「イヤーフック4種類(イヤーフックなしのものを含む)」から自分に最適な組み合わせを選べる。
VERSA使用当初、デフォルトで装着されていた組み合わせのまま使用したのだが、すぐに耳が痛くなり「付け心地をアピールしているのになんなんだよ!」と憤慨したのだがw、その後、他のパーツに変更をしたことにより快適になっていった(すべてを試す前に短絡的に憤慨してすみません)。
ちなみにイヤーピースの種類は「2型5種類」で、シリコンの材質の固さや先端形状が異なる。
GOOD④:「良心的な価格」
VERSAの価格は「12,980円(税別)」。すでにAmazonで購入可能。
ハイエンドの完全ワイヤレスイヤホン市場は、AirPodsProは3万オーバー、スポーツ向けBluetoothイヤホンメーカーとして有名な(?)J製は2万オーバーと、簡単には手を出しづらい価格帯の中、VERSAはかなり良心的な価格といえる。
尚、先にちらっと書いたが、1万円未満で購入できるレベルのものは良い買い物とならない可能性が高いので、完全ワイヤレスイヤホンを”超お試し”で使ってみたいという方を除き、購入はオススメしない。
GOOD⑤:「長時間バッテリー」
バッテリーの持ちの良さも、僕のようにロングランをしょっちゅうやるランナーにとっては大きなメリットだ。
VERSAの連続稼働は「8時間」。AirPodsProが「最大4.5時間」なのでその長さが窺える。
僕の場合、丸々一日掛かるようなロングランをするときは、両耳でずっと再生していると途中で一度音楽とおさらばしなければいけなくなるので、「片耳ずつ再生」で現状やり繰りしているのだが、VERSAであれば両耳付けたまま一日走っていられそうだ。
尚、ケースの充電ポートはMacやアンドロイドスマホ、GoPROでお馴染みの「TYPE-C」。
GOOD⑥:「音声アシスタントが便利」
AirPodsProには当然ついている機能だが、まだ使ったことがなかった「音声アシスタント」とやらをVERSAで少し試してみた。
そしたらなんだこれ、めちゃくちゃ便利ではないか。VERSAではイヤホンを2秒以上長押しすると、音声アシスタントが立ち上がる(iPhoneとの接続であればSiriが起動する)。そのままの状態で話しかければ、高精度のマイクがしっかり内容を拾ってくれ、Siriとの”会話”が始まる。
質問への回答に画面確認が必要だとスマホを取り出さないといけないが、音声回答のみで解決できるものであれば音声のやり取りのみで諸々解決!(当たり前か)
2秒長押し→「今日の天気教えて」→「今日の天気は●▢✕▼です。予想最高気温は●度です。」
2秒長押し→「この近くに銭湯ある?」→「●件が見つかりました。このうち●●の近くにあるのは✕▲●▢です。」
なんてことができちゃうわけだ。スマートデバイスに使い慣れてる人からしたらもはや当然の世界なのかもしれないが、スマホに向かって話しかけるのではなく、完全ワイヤレスイヤホンを通してSiriと話すというのがなんだかとても新鮮な体験だったので記載しておく。
BAD ポイント
ランナー目線で「ちょっと残念かも」と感じたポイントも率直に記載しておく。
BAD①「イヤホン本体のボタンの押し心地が固い」
まず前提として、この「押し心地」に関してはXROUND社の明確な意図があって、この「押し心地」で設計されていることをお伝えしておく。
以下、製品サイトより。
「誤接触、湿度などで誤操作が生じないよう、VERSAのボタンは強めに押すようにデザインしており、押した時の手応えもしっかりめに作られています」
XROUND社公式サイトより
ただ、これはランナーからすると「強めに押す」の度合いがちょっと強すぎたかなという印象。
AirPodsProの操作感に慣れてしまっていることもあるかもしれないが、ソフトタッチではまったく反応せず、耳にイヤホンを強めに押し込むぐらいに押さないと反応しない。
普通に押し込まれて痛いのでw、結局、親指と中指で本体を押さえて耳内部に押し込まれるのを軽減しながら、人差し指で押すという形を取らざるを得なかった。
ランナーとしては、「ランニング中は走ること以外に極力余計な労力を掛けたくない」というのが心情なので、ここはマイナスポイント。
ちなみに、イヤホン操作は以下が可能。
・再生/一時停止 1回押す(左右どちらでも)
・次曲再生 左を2回押す(左●●)
・前曲再生 左を3回押す(左●●●)
・音量調節 UP→右を3回押す(右●●●)/DOWN→右を2回押す(右●●)
・着信に出る 着信中に1回押す(左右どちらでもOK)
・着信拒否 着信中に2回押す(左右どちらでもOK)
・通話を切る 着信中に1回押す(左右どちらでもOK)
・音声アシスタント呼び出し 2秒間長押し(左右どちらでもOK)
BAD②「外部音取り込み機能がない」
こちらもAirPodsProの「外部音取り込み機能」と「ノイズキャンセリング機能」の切替えに、衝撃的な感動を覚えてしまっている身なので”欲を言えば”のポイントではあるのだが、AirPodsProを使っている人もそれなりにいると思うので、あえて記載しておく。
VERSAで僕が現状装着している「可動式コンフォートイヤーピース(半透明のほう)」は、完全遮音タイプではないので外部音は聞こえる(爆音だと難しいかも)。なので、音量調節次第で車の音も拾えるので安全上の問題はなし。
ただし、人との会話となると少々難を感じた。
会話をストレスなく行うためには、少しイヤホンの装着具合を緩めるか、もしくは「音楽一時停止 or 音量を下げる」という一手間が必要だった(※音量を下げた状態であればランニング中でも会話は可能なレベルにはなる)。
まぁそもそもイヤホンをつけて走るときは単独走のほうが多いだろうし、走りながら会話をするほうがレアケースだと思うので、あくまでご参考程度に。
【まとめ】「お手頃価格」且つ「落ちない」完全ワイヤレスが欲しい人は”買い”
まとめると、タイトルの通りだ。
「お手頃価格」で「落ちない」完全ワイヤレスイヤホンが欲しい人にとっては、有力な選択肢になり得る。
まぁ”完全ワイヤレス”なので「落ちない保証」はどこにもないがw、ひとまず僕の経験からすると「VERSA」が一番落下リスクは低いように感じる。
僕はAirPodsProを購入したてのとき、皇居ランでいきなり左のAirPodsProを落下させ、危うく皇居のお堀に転がっていきそうになった経験をしている。その時は草に引っかかってギリギリ助かったのだが、青冷めたのは言うまでもない。
それ以来、川沿いや皇居を走るときは、”川側(お堀側)”を極力避け、”内陸側”の「安全地帯」を走るようにしている。3万円が川にポチョンしたり道路の排水溝に吸い込まれていったりしたら本気で悲しい。本音としては「AirPodsProをランニングでは使いたくない」のである。
なので、言い方はちょっとアレだが「二軍」のランニング用ワイヤレスイヤホンを僕はちょうど探していた。そんなときに見つけたのが(声を掛けていただいたのが)今回のXROUND社製の「VERSA(バーサ)」である。
今後、ランニングのときのレギュラーはVERSAに確定。AirPodsProは控えに回る。
ちなみに製品の性能とは関係ないが、パッケージデザインに”イカした仕掛け”が施されていて、開封時にテンションが爆上がりしたので最後にその動画を載せておく(笑)
※VERSAの詳細スペックは下記参照。
ブルートゥース規格 Version5.0 /Class2
XROUND公式サイト
対応コーデック SBC、AAC、aptx
対応プロファイル AVRCP1.6 / HSP1.2 / HFP1.7 / A2DP1.3.1 / cVc8.0
ドライバー規格 6㎜チタンドライバー
再生周波数帯域 20~20,000Hz
センシビリティ 103dB
インピーダンス 16Ω
マイク 2×MEMS
通信距離 10m/最大25m
連続使用時間 イヤホン8HR/充電ケース32HR(※50%の音量で測定)
充電ケース規格 Input: Type C / Support wireless
Charging meet Qi standard
防塵防水等級 IP67
重量 イヤホン片側 4.5g / 充電ケース 40g
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