【OMM参戦レポ①】やっぱり「唯一無二」なんだよな | OMM JAPAN 2020 NOZAWA ONSEN(2020年11月6・7日)

2020年12月6日

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今年もOMM本戦に参戦してきた。これで3年連続での参戦となる(OMM LITEも含めると4年連続)。

OMM JAPANは2014年に伊豆で初開催されて以降、今回が7回目。本場UKでは50年以上の歴史がある山岳アクティビティだ。毎年開催エリアが変わるので一度OMMにハマってしまった人間はもう抜け出せない。毎年出ざるを得なくなる。僕自身も大会が開催される以上は今後も出続けるだろう。

(ちなみに今の相方とは今年で"解散”を言い渡されているので(!)、来年は新たなバディーを探さねばならない。求ム、NEW相方)

さて、参戦レポ一発目は、レースの結果云々の前に、改めて「OMMとは」という点について僕なりに感じたことを書きたいと思う。

OMMがそもそも何者なのかということと、山猿家のOMMヒストリーについてはこちらの記事(【雑記】「OMM JAPAN 2019」 参戦レポートの前に、まずはOMMの『楽しさ』を語っておく。)に譲るとして、丁寧に感情を振り返ったところ、上記の「楽しさ」について、今年はさらにいくつかの気付きがあり、別の表現が見つかったので、僕自身の感情ログとしても残しておきたい。

圧倒的に唯一無二

ナビゲーションなんてよくわからずに参戦した2018年(もちろん惨敗)、リベンジを誓い意気揚々と参戦した2019年(事件だらけで惨敗)、そして、"山野郎"としての多少の箔と自覚も芽生えた状態で臨んだ今年2020年(結果やいかに)。

OMMに限っていっても(さまざまなドラマとともに)山との付き合いは深くなっているが、OMMとは関係なしに、この3年で山には随分と慣れ親しんだ感が自分の中でもある。

そんな、トレランや登山、縦走、キャンプをはじめ、それなりにいろいろな"山岳アクティビティ"を経験してきた、山レベルとしては中級ぐらいにはなってきた僕が、OMMというレースに対して思うのはこれに限る。

「圧倒的に唯一無二」

毎年参戦する度にOMMの面白さにずぶずぶとハマっていっているわけだが、丁寧にOMMに対する感情を振り返ってみると、面白さの根本はやはりこれなのではないかと感じている。

先にちょろっと書いた「フィールドが毎年変わる」という飽きさせない要素もさることながら、それ以上に、OMMという競技に内在する「参加者に求められる要素が多岐に渡る」という点も、この「圧倒的唯一無二」に繋がっているひとつの大きな要因なのではないかと思う。

“参加者に求められるもの"を思い付くままに挙げてみると、

体力、走力、登攀力、ナビゲーションスキル、パッキングスキル、野営スキル、タイムマネジメント、判断力、冷静さ、メンタル、協調性、変化する環境への適応力、などなど

これ以外にももっといろいろあると思う。

例えばの比較として、仮に”PB更新"を目的としたフルマラソンのように、主に体力的要素(と少しのメンタル?)だけで乗り切れるものとは、OMMはちょっと質が異なるのだ。

また、OMMはいわゆる「オリエンテーリング」という競技に分類されるのだが、オリエンテーリング競技は他にもあれど、一筋縄ではいかないもどかしさ故の奥深さ、絶妙な難易度設定、オーバーナイトという設計、エンターテイメント性、どれをとってもやはり「圧倒的に唯一無二」なのだ。

くすぐられる挑戦心

「圧倒的唯一無二」を後押しするものがもう一つある。

それが、「挑戦心」だ。

ん…?ちょっと待て待て。「挑戦心」ならマラソンにだって当てはまるって?

うんうん、まぁそうだよね。それは僕も承知している。来年は僕もサブ3に改めて"挑戦"しようと思っているし、フルマラソンほど「挑戦心」というワードが当てはまる競技もないだろう。

でもだな、OMMというレースが投げかけてくる「挑戦心」はマラソンのそれとはちょっと違うんだ。

僕がOMMから感じ取っている「挑戦心」は、ずばりこれ。

「くすぐられる挑戦心」

言葉の綾みたいで申し訳ないが、わかる人にはわかってもらえるだろうか。これほどまでに挑戦心を「くすぐられる」競技はそうそうない。

マラソン然りトレランレース然り、挑戦心を「刺激」してくれるものには間違いないのだが、あえて表現するなら、マラソンやトレランレースは挑戦心を「掻き立ててくれる」ものであって、それに対してOMMは、文字通り挑戦心を「くすぐられる」のだ。(この微妙なニュアンスの違いわかるかなー)

OMMへのエントリー後は、準備からレース当日、そしてレース終了後の"振り返り"に至るまで(およそ1ヶ月は酒のつまみになる)、OMM氏はいろいろなタイミングでいろいろなところをくすぐってくるのだ。

「おーおー、ほんとにそんなウェアで大丈夫~?当日は雨降っちゃうかもよ?」

「おーおー、ほんとにその野営装備で大丈夫~?野営地の環境ちゃんと確認した?」

「おーおー、ほんとにそのルートで合ってる~?そっちは崖かもしれないよ?」

「おーおー、盛大にバディーと喧嘩してるね~?はぐれたら遭難しちゃうよ?」

「おーおー、今話したあのバディー、頑張りましょうとかにこやかに言ってるけど、てめぇのこと出し抜こうとしているかもよ~?(思い当たりあり)」

これは「くすぐり」のほんの一部だ。

僕の基本装備が「ドM」なのでそれも影響しているのかもしれないが、こんな感じで至る所でくすぐってくるので、OMM期間中はとにかく「ニヤニヤ」しちゃうのだ。

OMMにどっぷりハマっている人は「ニヤニヤ」を超えて、きっともうOMMと「イチャイチャ」してる。

これがずばり、「OMM」だ(どんな紹介だ)。

ちなみに僕はまだまだ「ニヤニヤ」レベルだと認識している。「イチャイチャ」レベルに至るには、もう一段上のスキルを身に付けて、もう一段上のレベルのOMM氏の要求に応えられるようにする必要がある。

ディレクターズレポートを読んで

先週、今年のレースについて主催者側から「ディレクターズレポート」が公開された。

ディレクターズレポートは、イベントディレクター、テクニカルディレクター、コースディレクター、セーフティーマネージャーの4名がそれぞれの立場・視点から振り返っており、どれも興味深く読ませてもらった。

まずもってディレクターズレポートを読んだ上で述べたいのは、やはり「感謝」。

あれだけ広大なエリアを競技フィールドとすることは、当然ながら開催にあたり多くの困難が伴うわけだが、加えて今年はコロナの影響で開催準備期間にも制約があったりと、困難に次ぐ困難という状況だったはず。そんな中でも素晴らしいレースを開催してくれた主催者には心から感謝をしたい。ありがとうございます。

各レポートから印象に残った部分を抜粋してみる。

2020年は、OMM JAPAN運営チームにとっても例年とはまったく質の異なるチャレンジの年となりました。いつ、どのように襲いかかってくるのか、誰にも分からない「驚異」に対して、私たちにできる備えや対策はあまりにも少なく限られ、それらを万全に準備したとしても無事に開催できる可能性は常に五分にしかならない情勢でした。 

しかし、そんな中でも開催に向けて強く背中を押してくれたものはやはり、正解ではなく、最善を尽くすことに全力を注ぎ「進む」という、OMMのチャレンジスピリットそのものでした。

イベントディレクター 小峯さん

緊急事態宣言空けの 6 月以降、安全管理チームの宮内佐季子氏とコースプランナーの谷川友太氏とテレイン調査を行った。かなりのヤブでルートの自由度が高くないことは数日のうちにわかった。しかしだからといってここから他の開催地に変更することはできないので、このテレインで OMM JAPAN らしいコースを用意することを検討した。

ヤブのなかを延々進まないと到達できないコントロールばかりではナビゲーションの難易度が上がってしまう。基本的には尾根や谷の中にある林道や作業道、踏み跡などを利用して移動することで距離と登りを稼ぎ体力的要素を問うことにした。一方で何個かのコントロールではやぶを通過しながら細かな地形へのアタックを要求し、ナビゲーション要素も問うこととした。キャンプ地は整備されたキャンプ場を利用することがかなったが、標高や緯度を考えればそれだけで十分野営スキルを問うことはできるだろう。

テクニカルディレクター 小泉さん

参加者の皆さんからの感想を聞くと皆第一声は「ヤブかった」であったが、苦しみながらも楽しかったとの言葉を多くいただいた。個人的には今回の藪は望むものではなかったが、参加者の皆さんに楽しんでいただけたのならば良かったのかもしれない。

OMM は自然の中で行われ、開催地によって多様な植生や地形の特徴があり、それらによって求められる課題も変わってくる。事前に地形図などで予習をしておくことも重要だろう。また、どんなフィールドであっても対応できるスキルを身に付けることももちろん必要だ。今後も OMM JAPAN は場所を変えて行われるが、次はどんなところかと楽しみにしていただき、また挑戦してほしい。

コースディレクター 谷川さん

リスク回避になりがちな現代日本において、挑戦に伴うリスクを理解した上で受け入れている人がこれだけいることには、希望を感じる。

改めて考えてほしいことは、必須装備がなぜ定められているかという点だ。これらは一般的なこの時期の自然の中で通常想定できるトラブルがあっても確実に帰還する、あるいは身を守るためにある。身を守れなかったあなたは、「自業自得」と割り切って静かに消えていくかもしれない。しかし、それで悲しむ人、あるいは生涯消えない後悔の念を抱く人がいるかもしれない。リスクマネジメントの肝は、装備でもスキルでもない。自分の行動がどのような結果をもたらすかへの想像力である。

セーフティーマネージャー 村越さん

競技中、とんでもない藪の中を進みながら「コースディレクターめ、なんてルートを通らせやがるんだ!(別にそのルートを通らなければいけないわけではないのだけど)」と文句を言っていた参加者も多いと思うが、ふむふむそういうことだったのか。

てか、「ヤブかった」って!!

うまいな。くそー、思い付かなかった。

いや、ほんと「超ヤブかった」ですから。

話は「ニヤニヤ・イチャイチャ」のくだりに戻るが笑、文句を垂れながら悪戦苦闘しまくる参加者も「こんなに苦しめやがって」とニヤニヤし、タフなコース設計をした主催者も「ふふ、どれだけ苦しんでいることやら」とニヤニヤする。

そんな人間模様が2日間に渡って繰り広げられるのがOMMである。

ということで、来年僕と誰かバディー組んでください。

▼参戦レポ②はこちら

参戦レポ②は結果報告を。

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