僕の大好きなトレランシューズにサロモンの「スピードクロス」というものがある。
かれこれスピードクロス「3」時代からずっと履いていて、現在の「5」に至るまでトータル5~6足は履いている。バージョンが上がるごとに見事に進化もしていて、3時代に気になっていた「重さ」もいまはまったく気にならないし、アッパーの作りもなめらかになってなでなでしたくなる。
とにかく一番の売りであろう「剛性さ」に加えて、「スマートさ」が加わってなんともいい感じなのである。5に至っては、最初に買ったイエローに加えて、ブルーが半額だったり、ホワイトがオシャレだったりするもんだから、現在3足持っている(笑)
と、こんなに大好きなスピードクロスなんだが、大好きだからこそ今回ひとつクレームを申し入れたいと思う。僕はサロモンの回し者でもなんでもなく、単に一ファンなのでこれが言える。
だから言わせてもらおう。サロモンの方(アメアスポーツの方!)、是非改善を求ム!
僕がなぜ先日の北アルプスで「中敷きおじさん」と呼ばれたか。
まずはここから話さねばならない。
つい先日、北アルプス(折立in、雲ノ平、黒部五郎岳など)に1泊2日の行程で行ってきたのだが、天候は1日目と2日目終盤を除いて「雨」。それはそれはひどい雨。暴風雨。
この苦しくも楽しい北アルプスファストパッキングにおいて、僕は途中から、パーティーから「中敷きおじさん」と呼ばれていた。
最終的には「中敷き”なし”おじさん」にバージョンアップしたのだが、背景を知らずにこれだけを聞くと、単なる「哀れなおじさん」にしか聞こえない。ひどい言われようである。
では、なぜ「中敷きおじさん(中敷きなしおじさん)」と呼ばれていたのか。
説明しよう。
まぁ、名称からして想像に難くないだろう。決して、「中敷き博士」のような博識系やクリエイティブ系の路線ではない。
そう、ずばり、ウェットになった中敷きがヨレヨレになり、くだりゾーンになると中敷きが前足部のほうにどんどんずれ込んでいくのだ。
どんな感じかというのを先に写真をお見せしておこう。…とはいっても当日の現場写真はないので、先程自宅ベランダで再現した写真だ。
(あんなにシャッターチャンスがあったのにパーティーの2人は僕のその姿を一度も撮らずにそそくさと進んでしまったのだ。あんなにシャッターチャンスあったのに!)
実はこの現象は今回が初めてではなく、すでに経験はしていた。ヒルの大集団に襲われた6月の丹沢だ。
この日も天候は雨で、スピードクロスは途中からウェットな状態となった。それ以降、くだりを走っているとなにか足底に違和感を感じる…。なにかが当たる。最初はソックスがよれているのかなと思った。
ロングレースの経験上、小石などの足裏の違和感は早々に取り除かないと後々痛い目を見ることを知っている。でも別にそのときはロングレースを走ってるわけでもないし、とシカトしていたのだが、その後、丹沢ヒルズ族の大襲撃に遭い、これは絶対に靴の中にも侵入しているんじゃ!?と、さすがに一度シューズを脱いだときに「シューズ内雪崩」に気が付いた。あ、ソックスがよれているんじゃなくて、こっち(=中敷き)がズレてたのか!と。(ついでにヒルズ族の皆さまも案の定シューズ内部への侵入に成功していた)
丹沢ヒルズ族の大襲撃に、シューズ内雪崩に、このダブルパンチはなかなかつらいものがあった。
話を今回の北アルプスに戻す。
今回の約50㎞の山行の間に僕は何度中敷きを直すために立ち止まっただろうか。
「あ、ちょっと中敷き整備するから先行ってて」を何度繰り返しただろうか。
中敷きを直すのはけっこう手間がかかる。ザックもそれなりに重いので、腰かけるのにちょうどいいところを探すところからまず始まるのだが、それ以降の”儀式”はこんな感じだ。
- どっこいしょとしゃがむ
- シューレース緩める
- 中敷き取り出す
- 中敷き伸ばす
- もういい加減縮んでくんなよと念を込めて中敷きをセットする
- もういい加減縮んでくんなよと足入れしてギュギューっと踏みつける(意味ない)
- もういい加減縮んでくんなよといつもより強めにシューレースを締める(意味ない)
こんなことをやっていたもんだから、パーティーとの差は相当広がる。あとから聞いた話、「なかなか来ないね…」という会話が先を行く2人の間でされていたらしい。
で、開いた差を埋めるべくガシガシくだらざるを得ないもんだから、一瞬にしてまたシューズ内雪崩が発生する… あぁ、なんて可哀そうな…
頻発する雪崩にさすがに嫌気が差して、僕は最終的に「中敷きを取る」という荒療治に出た。北アルプスのひたすらガレ場を中敷きなしで進んでいくのは普通に気が引けたが、やむを得ない。度重なる「中敷き直し」のストレスに比べれば、多少の突き上げなんてちょろいもんだ。(ちょろくなかった…普通に痛い)
そんなこんなで僕は最終的に「中敷き”なし”おじさん」となったのである。
中敷きおじさん、インソールを買いました。
ここまでが「中敷きおじさん、インソールを買う」のうち、「中敷きおじさん」の話だ。
で、ここからが「インソールを買う」のほうの話。先に言っておくが、こっちの話は一瞬で終わる。それとここからは「中敷き」改めて「インソール」と呼び方もオシャレにいこうと思う。
ということで、哀れな中敷きおじさんは、早速インソールを手に入れた。晴れて「インソールおじさん」である。
インソールのメーカーはスーパーフィートやカスタムバランスなどいくつかあるが、今回はSIDAS(シダス)をチョイス。5500円也。他のメーカーに比べて少しコスパもいい。
僕はこれだけ走っているので、シューズやらギアやらには多少なりともこだわり(というか興味)がある。なので当然ながら過去にも別売りのインソールは試したことがある。
一番始めはカスタムバランス。しっかり足型を取り、熱成形で仕上げる完全オリジナルな本格的なものを試した。だが逆に、足型を取ったにも関わらず、土踏まずの突き上げ感が強くて長く履いていると痛い。馴染めずに放置した。
その後なんとなくスーパーフィートが気になりそちらも試したが(熱成形ではなく既製品)、素材が滑る感じがするのと、全体的な固さが肌に合わず、こちらもいまはもう使用していない。
さて、今回のシダスはどうなるか。
店員さんに過去のインソール事情と今回の中敷きおじさん事情を伝えた上でコイツをチョイスしたので、永く付き合える相棒になってくれることを願いたい。
とりあえず緑のカモフラ柄がオシャレなので気には入っている。スーツのジャケットの裏地的な。
それと、素材の見た目がケバケバしているのがわかるだろうか。まだ履いていないのでなんともいえないが、シューズ内での滑り問題ももしかしたら解消されるかもしれないという期待感はある。
明日からまた八ヶ岳にトレラン&登山に行くので、どんな使用感か楽しみだ。
ちなみに今回のシダスは「OUTDOOR 3D ヒザのトラブルに」という触れ込みのものだが、特にヒザにトラブルは抱えていない。ヒザのトラブル解消というよりは、名誉毀損解消といえよう。
だって想像してほしい。「中敷きなしおじさん」って哀れ過ぎないだろうか。中敷きがないってことはだ、きっと他にも、いろいろない。哀れ過ぎて泣けてくる。とてもとてもかわいそうだ。僕は中敷きなしおじさんではない(いや、そうである)。
今回はそんな哀れなおじさんが中敷きをゲットして喜んでいる、という真実に基づいた話である。
さぁ、あなたも中敷きおじさんの仲間入りをしようじゃないか。
以上。筆を置く。
コメント
コメント一覧 (3件)
突然のコメント失礼します。
私も、靴の中が汗や雨でウェットな状態になった際、山猿さんのような現象がおきて悩んでいます。(ちなみにサロモンのウルトラグライドです)
解決方法をネットで探っていたら、この山猿日誌にたどり着きました。
インソールをシダスのOUTDOOR 3Dに変更したら、インソールの前足部へのずれは解消されましたか?
やまん様
コメントありがとうございます。山猿です。ご返信遅くなり申し訳ございません。
僕はこの事件以降、サロモンのシューズ購入時についてくる中敷は一切使わなくなりましたw
その後ずっと(コスパも一番いいので)シダスを使用していますが、問題は解決されていて、
まったく中敷きがずれてくることはなくなりました。
昔に比べて、走り方(くだり方)がうまくなったというのもあるかもしれませんが、
中敷きを変えたことはかなり大きな要因かと思います!是非一度試してみてください!
山猿
[…] 「中敷きおじさん、シダスのインソールを買う」の巻。 […]