皆さんは、ランニングの時に「心拍計測」はしていますか?おそらくこの記事を読んでくれている方の多くが「している」かと思います。
ランニング時はもちろんですが、普段の生活の中でもつけていると、「あ、今日なんか心拍高いな」とか”体調変化のアンテナ”としても何かと重宝します。
僕の場合は相方に触発されて少し前から「マフェトントレーニング」を始めてしまったので、もはや「心拍コントロール命!」な日々を送っております。
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光学式心拍計について巷でよく聞く声
マフェトントレーニングにおいては「心拍管理」が肝なので、このトレーニングを始めてからというもの、Garminの示すHR(Heart Rate)と睨めっこしながら走っています。さらに「アラート機能」も設定しているので、一定心拍以上になると、ピーピーピーピー警報が鳴り続けます。
こんな”自粛警察”ならぬ”心拍警察”にがんじがらめに縛られて走ること早数ヶ月…。実はちょっと「困りゴト」に遭遇していました。
巷でよく聞く声と同じなので、街の声を聞いてみます。
「ジョグなのに心拍数が180もある」
街中のとあるランナー
「インターバルなのに心拍数が上がらない」
こんな話をよく聞くんです。で、これ、僕も「まさに」なんです。
まぁ二点目の「インターバル練」は僕の場合あまりやる機会がないので、どちらかというと一点目ですね。
ゆる~くジョグをしていて全然追い込んでいないのに、アラート鳴りまくりな状態。ちなみにアラートはマフェトン理論に則り、心拍145以上で鳴るように設定しています(※上限心拍=180-年齢です)。
始めの頃は「これ、絶対Garmin故障したわ…」と100%Garminのせいにしていたんですが、何度か同じ状況が続くにつれて、「あれ?もしかしてこれ、実は合ってるのか…!?」とだんだん自信がなくなり、自分のポテンシャルの低さに凹んだりもしていました笑
でも、あまりにも体感とかけ離れていて「やっぱり絶対おかしいだろ!」と自分のプライドを守ることに躍起になり、まずはどんな原理で計測されているのか、光学式心拍計の原理を抑えにかかることにしました。そこに何か”自分のプライドを守ってくれるまっとうな理由”があるはず…
ついでに、心拍計測の大御所、「心拍ベルト(胸ベルト)」についても調べたので、そちらも併せて「計測の原理」を抑えていきましょうぞ。
結論
結論からいきます。
結論、僕のプライドを”多少は守ってくれそうな”それっぽい回答に行き着きました。
僕同様に”異常心拍”に困惑?辟易?していたそこのあなた。もうご安心ください。あなたは、きっと、悪くない。(きっと)
結論としては、下記。
光学式心拍計は 、計測方式上、ある程度精度がずれるのは仕方がない
当然ながら”ある程度”の話です。断言はできません。もしかしたら普通にあなたのポテンシャルが低いのかもしれない。その時は潔くその”異常心拍”を受け入れてください。それがあなたの運動時の”正常心拍”です。
でも、僕のようにポテンシャルがありながらも明らかにおかしい(←めっちゃうざいやつ)という人に対しては、多少は”救い”になる結論かと思います。
まぁでも一つ確実に言えることは、計測精度という点でいうと、「光学式心拍計は心拍ベルト(胸ベルト)には勝てない」ということがよくわかりました。
なぜ光学式心拍計は精度がずれるのか?これを抑えるには光学式計測の「原理」を抑えねば!
ということで次項からそのあたりシェアしていきます。
まぁちょっと考えたら「そりゃそうだよな」という感じでしたね。
メーカー各社があらかじめ伝えていること
もったいぶって申し訳ないですが、「原理」の前に、まずは光学式心拍計付きGPSウォッチを出している”代表3メーカー”より、光学式心拍計に対する「免責コメントw」をシェアしておきます。
各メーカーこんなことを言っておられます。
静止時の心拍モニタリングは容易ですが、光学式心拍計には技術固有の限界があります。運動の最中はさまざまな環境要素の変化により、光学式心拍計による心拍モニタリングは難易度がアップします。汗、震動、温度、使用者の姿勢、スタミナ消費の起伏、または機器と皮膚の隙間も光学式心拍モニタリングにおいてさまざまな妨害ノイズを生じます。
Garmin
光学式心拍計測の正確性はいくつかの要因に左右され、個人差があります。このため、手首から測定される心拍数はあくまでも推定値である点に注意してください。より正確な測定値を得るには、 Suunto Suunto Smart Sensorなどの互換性のある胸部心拍センサーを使用することをお勧めします。
SUNNTO
光学式心拍数計測法の難点は、動きに影響を受けやすいということです。動きが生じるとLED光と探知器間に誤差ができ、心拍数の読み取りに影響が出るのです。
POLAR
揃いも揃って各社きれいに「精度はブレます」と書いてありました。つまり、誠に残念ながら、「光学式心拍計とはそういうものだ」ということです。
僕は過度の期待をしすぎていたようです。大前提として、光学式心拍計に「100%」を求めてはいけません。(とはいえ、便利なことは事実。今回はそちらには深く言及しませんが、腕に付けるだけでざっくりとでも心拍がモニターできるのは超便利です)
ちなみに、精度がブレることはわかった。でも「なぜブレるの?」が気になるところ。
これについては、各メーカーいろいろな書き方をしていますが、整理すると下記のような点を挙げていました。こいつらが”外部要因”としての光学式心拍計の精度がブレる理由です。
- 体の動きや大きな筋肉群の屈曲
→血管はバルーンのようなもので動きや屈曲により手首付近の血液量に影響を与える。そのため、精度が下がる可能性がある。 - 肌のメラニン色素
→メラニン色素は光の一部を吸収する性質がある。そのため、肌が黒いと精度が下がる可能性がある。 - 低温環境
→気温が低いと体温維持のために腕や脚から体幹(身体の中心)に向かって血液が送られるため、腕への血流が減少する。そのため、精度が下がる可能性がある。 - 水中
→水中では「水」が時計と皮膚の間を通る。そのため、精度が下がる可能性がある。(同じ理由で薄い布などが時計と皮膚の間を通っている場合なども当然NG)
なるほどなるほど。「精度がブレる理由」がこんなにあるんですね。これに”そもそも”の光学式心拍計の「計測原理(内部要因)」が掛け合わさってくるわけですね。そりゃ正確な計測は大変なわけだ。逆によく頑張ってくれてると思うべきか。
(それにしてもメラニン色素はびっくりですね。色黒の人は精度下がるかもしれないのか。それはなんとまぁ…笑)
「光学式心拍計」の原理
お待たせしました。光学式心拍計の「計測原理」を整理していきます。
まず、光学式心拍計の時計を持っていない方に、実際のモノがどんな感じなのかを写真でお届け。光学式心拍計付き時計はこんな感じで「光るセンサー」が内臓されています。
光学式心拍計の原理は以下の3ステップです。
- 手首に緑色のLED光を照射する
- 血液中のヘモグロビンが光を吸収する特性を利用して、光が反射される度合いを計測する
- 吸収率と反射率のデータを心拍数に変換する
以上3つ。とてもシンプル。
血流量は心臓の収縮/拡張(要は「心拍」)に合わせて変化するので、それと併せて、光の吸収率/反射率が変化するわけです。
原理については、以下の図をみていただくのが一番わかりやすいです。(Garminのサイトより拝借)
これを一定間隔で計測し続け、反射してくる光の量の変化を「心拍数」として変換して表示しているわけですね。ふむふむ、なるほど。
①体の動きや大きな筋肉群の屈曲
→血管はバルーンのようなもので動きや屈曲により手首付近の血液量に影響を与える。そのため、精度が下がる可能性がある。
②肌のメラニン色素
→メラニン色素は光の一部を吸収する性質がある。そのため、肌が黒いと精度が下がる可能性がある。
③低温環境
→気温が低いと体温維持のために腕や脚から体幹(身体の中心)に向かって血液が送られるため、腕への血流が減少する。そのため、精度が下がる可能性がある。
④水中
→水中では「水」が時計と皮膚の間を通る。そのため、精度が下がる可能性がある。(同じ理由で薄い布などが時計と皮膚の間を通っている場合なども当然NG)
ここでおさらいです。下記が「精度がブレる理由」でした。
これを踏まえて、もう一度結論を言います。さぁ次へ。
結論2回目(超わかりやすくいうと)
すでに一度結論を述べましたが、さらにわかりやすくいいます。
上記の「計測原理」と「精度がブレる理由」を付け合わせると、つまり下記が結論です。
そもそも手首で計測するのはちょっと無理がある!
身も蓋もない結論ですみません笑。
あ、でもこの結論だと「光学式心拍計ダメじゃん」となり兼ねないのでひとつ補足をしておきます。
この結論は、僕のようにマフェトントレーニングなんかをしていて「厳密に心拍数を管理する必要がある」場合には問題になりますが、別にそこまでの正確性を必要としない人にとっては、正直まったく気にしなくていいレベルです。むしろ、手軽に心拍が測れて最高なデバイスです。
参考までに誤差率は「90%の確率で5~8%」です。
つまり、10%ぐらいは大ボケかますかもしれないけど、残りの90%は、ズレたとしても5~8%に収まりますよってことです。例えば誤差「5%」とすると、本当の心拍数を150とした場合、瞬間的には上下に7.5拍ずつ(=142.5~157.5)ブレる可能性があるよ、ということ。
あれ?この誤差けっこうでかくね??^^;
まぁ感じ方は人それぞれということで。
「心拍ベルト(胸ベルト)」の原理
光学式心拍計の原理がわかったところで、ついでに「心拍ベルト(胸ベルト)」についても、原理を抑えておきましょう。
以下の写真の通り、僕は最終的に心拍ベルトを購入しました。
で、結果としては、「心拍計測の異常な乱れ」はなくなりました。冒頭に書いた通り、心拍ベルト(胸ベルト)のほうが明らかに精度が高いです。
心拍ベルトはこんなもの
僕の購入した心拍ベルトはこちら。
心拍ベルト(胸ベルト)の原理
ここはイメージでなんとなくわかると思うのでサクッといきます。心拍ベルトと同じようなものに「心電図検査」がありますが、同じようなものというか、原理はあれです。
ということで心電図の原理を。
<心電図について>
・心電図とは、心拍を「電気的に」感知するもの。
・電気の流れを記録するには「電極」が必要で、心臓を挟んで電極を2つ取り付ける必要がある。
以上です。笑
あれをランニング用に応用しているってことです。少し上の心拍ベルトの写真を見てみてください。センサー発信部の左右に1つずつ、電極が2つありましたよね。
僕ははじめ、中央のセンサー発信部で心拍を計測しているのかと思っていたので、左右の胸骨の中央部分(くぼみの部分)にセンサー部がくるもんだから「これ胸に密着してなくて大丈夫なのかな??」と、ベルトの位置調整にかなり気苦労をしていました。でも、「左右の電極部が胸に密着していればいい」ことに気付いてからは、その気苦労から解放されています笑。
また、もしかしたら仕事柄、救命講習なんかを受講している方もいるかと思いますが、AED(自動体外式除細動器)の実習やりましたよね?あの時に「電極パットを心臓を挟んで2つ」マネキンに貼ったかと思います。あれです。
実習では「1枚を胸の右上、もう1枚を胸の左下側」に貼るように習うのですが、あれはあくまで推奨。そこに傷があったら貼れない可能性もあります。そもそも幼児にAED使うときは(あってほしくないですが)、体が小さいので「胸側に1枚、もう1枚は背中側」に貼ります。
つまり本質は「2つの電極で心臓を挟む」ことにあるんですね。(ちなみに貼る位置が逆になると、心電図の波形の表示が逆になってしまうようですが、心電図の判定には影響がないそうです)
なので、心拍ベルト(胸ベルト)のような挟み方であっても、(医療用に計測するわけではないので)「OK」ということです。
まとめ
まとめます。
細々としたころは、すでに書いた内容までスクロールして戻ってもらうとして、こんな感じかなと。
・光学式心拍計は、「間接的」に心拍を計測
・心拍ベルトは、「直接的」に心拍を計測
そりゃ、直接計ったほうが精度は高いでしょう!!
…って、まとめ雑すぎ??笑
光学式心拍計の精度を上げるために気を付けること
超雑にまとめましたが、結局は光学式心拍計を使う人が多いと思いますので、最後に「光学式心拍計の精度を上げるために気を付けること」を箇条書きしておきます。
ここまでですでに長くなったので各項目の詳細の説明は省きます。笑
・常に適切に肌に密着した状態を保つこと
・緩すぎると、心拍センサーと肌の間に隙間ができでNG
・きつすぎると、手首の血流が圧迫されることがあるのでNG。
・手首を曲げる動きを伴うスポーツ(ボートやテニスなど)によっては、手首の激しい動きで血流が圧迫されることがあるので正確に計測できない可能性あり。
・普段よりも高めの位置にウォッチを装着する
・エクササイズを行う前に適切なウォーミングアップを行う。
特に、運動直後に異常心拍がでる方は、最後の「ウォーミングアップをちゃんとやる」がけっこう大事みたいです。これ面倒だなー笑。
ということで、現場からは以上になります。
ではまた。
※最近、猿のデジタル化を推進中です。よろしければこちらもどうぞ。
「デジ猿日誌」
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