【感情の備忘②】UTMF2020 「中止会見」をLIVEでみて感じたこと。

2020年3月16日

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UTMF2020が中止になった。

予想をしていたとはいえ、いざ現実になるとなんともショックだが、昨日の"中止会見"のLIVEをみていて感じたことを記録しておきたい。

あ、ちなみに別にもう言わなくてもいいかもしれないが、僕はUTMF2020は落選しているので元々出れない人間だ。それでもUTMFに関しては、その一挙手一投足が僕にいろんな感情を持たせてくれる。

皆さまには、そんな僕のUTMFにまつわる感情備忘メモにもう少しお付き合いいただきたい。

▼【感情の備忘①】はこちら

まずは発表内容の共有を。

昨晩19:30に始まったLIVE会見。会見は質疑応答含めトータル100分にも及んだ。僕はそのすべてを視聴した。

今回のエントリーで伝えたいこととは主旨が異なるが、まずは発表内容について、要点と簡単な感想から述べる。(発表内容より山猿の思考メモのほうが気になる!という稀有な人はここは飛ばしてもらって構わない)

<中止対応>

①全ての選手に次回大会の優先エントリー権を付与
・有料だが減額措置あり(金額は 4 月下旬ま でに確定)
・寄付エントリーの方は次回大会のエントリー費用無料

②次回大会の優先エントリー権は参加資格が失効したとしても認める

③次回大会の優先エントリー権を望まない方へは参加費一部返金
・但し寄付エントリー者へは来年出なくても返金なし

④参加 T シャツ(THE NORTH FACE 製)は全選手へ送付

⑤STRAVA を活用した「Virtual UTMF(仮称)」を開催
・現状では 6 月以降で検討中

UTMF公式サイトより

※詳細はこちら「ウルトラトレイル・マウントフジ 2020 中止対応について」をご参照。

以下、中止対応の内容に対する簡単な感想と補足。あえて繰り返すが、以下は「中止対応の内容に対して」の感想だ。今回伝えたいことは後半で述べる。

とりあえず感想は以下3つ。

・Virtual UTMF!興味津々!
・来年も出れるか微妙…!
・参加資格の特例措置!素晴らしい!

ちょっとざっくりすぎるので以下補足。

Virtual UTMF

これについては、視聴者の「おぉぉ」というざわめきが聞こえた(気がする)。名古屋ウィメンズに続き、今年をキッカケにこの形態が流行るか流行らないか。興味津々。誰でも参加可能とのことなのでとりあえず参加確定。

来年も出れるか微妙

これは…仕方ないかな。発表の通り、全選手に来年の優先エントリー権が付与される。多少は枠が空くだろうからもちろん申し込むが、狭き門であることは変わらず。まぁダメだったらダメで今年やる予定だった相方のサポートに全力を尽くすのみ。僕にとってのUTMFは「自分がUTMFで100マイルを完走する」という目的以上の価値があることはすでにこれまで述べた通り。(述べてないかもしれないが、そんな雰囲気は出しているはず)

参加資格の特例措置

正直しょっちゅうトレランレースに出ている僕にとってはあまり影響のない話なのだが、これについては安堵した人も多かったのではないかと思うので取り上げておく。

そして「参加資格?はて?なんのこっちゃよくわからん。」という人がいそうなので、今後UTMFを目指す方に向けて一応補足。

トレランのロングレースは、「相応のリスク」があるため、そもそも「参加資格」が設定されていることがほとんど。ざっくりいうと「〇年以内に〇㎞以上のレースを〇本以上完走し、国際トレイルランニング協会(ITRA)が定める〇ポイント以上を保有していること」というハードルがある。

なので、UTMFに出る人は、UTMFに出るために数年プロジェクトでレースに参加しポイントを貯めていく。その上で高倍率の抽選をくぐり抜けた者だけが、ようやく本番の舞台に立てる。(だから、あの舞台に立てるだけでその人はもはや「勇者」なのだ)

厄介なのはこのポイントには「有効期限がある」こと。

例えば、5年前迄はばんばんロングレース出てたけど、そこから5年間一切レースで走っとらんのですよ、という人は出れない。(そりゃそうだ、そんな人が100マイルレースに出たら危険すぎる)

具体的にUTMFでいうと、下記がその条件となる。

大会エントリー開始日の3年前から前日までの間に、国際トレイルランニング協会(ITRA)がポイントを認定しているレースに出場・完走し、最大 3 レースで 10 ポイント以上を獲得すること。ただし最低1レースはエントリー開始日の1年前から前日までに開催されるレ―スとする。

UTMF公式HPより

つまり、3年以上前のレースで獲得したポイントはカウントされない。

参加者の多くはまずこの条件をクリアするために、それぞれが"抱えるもの"とのバランスの中で時間とおカネを捻出しレースに挑戦していく。そして、大多数の既婚者はパートナーへの献上と献身とゴマ擦りと交渉を経て、ようやくエントリー権を勝ち取るのだ。

正直、レースで走る100マイルよりもハードルが高いかもしれない。

失敬、話が逸れた。

3つ目の「参加資格の特例措置」はそんな人たちの気持ちに寄り添った素晴らしい救済措置といえる。

この「気持ちに寄り添った」という点はこの後の本題の話へと続くのだが、今回発表された「対応内容」は、参加者への配慮がしっかり行き届いたものだったと思う。

100分に及んだLIVE会見をみて。

で、こっちが今回伝えたい本題。

100分すべて視聴して感じた感想を一言でいうと、「気持ちのいい」会見だったということ。

内容が内容なだけに、鏑木さん・六花さん・千葉さんの三者の顔に笑顔などはもちろんなく神妙の面持ちで会見は進んでいったが、とにかく「気持ちのいい」会見だった。

UTMFにまつわる感情は、過去いろんなシチュエーション(昨年のレース中断など)はあれど、どれも最後はこんな感情にストンと落ち着く。清々しくスッキリした気持ち。

人によって消化するまでの時間の差はあるだろうが、「仕方ない、次だ次」と気持ちを前に向かわせてくれる。 昨年のレース中断も今回のレース中止も、どちらも間違いなくネガティブな事態なのだが、なんというか、最後はもやもやしたものがない。

▼昨年中止になったときのレースレポ

今回のLIVE会見を見ていたのは1600人程いたようだが、ほとんどの人が僕と同じような気持ちを持ったと思う。Facebook LIVE上に流れるコメントも日本人・外国人問わずポジティブなものが占めた。

で、大事なのは(伝えたいのは)「何がそう感じさせたのか」ということ。

言うまでもないが、それは

「誠実さ」

に尽きると思う。

中枢メンバーに「医者」という専門家がいる布陣も今回の件については特に安心感を与えてくれたが、なによりも、鏑木さん六花さん千葉さんそれぞれが、自分の言葉で「誠実に」「真摯に」「丁寧に」、説明をしてくれたことが、視聴者の気持ちにストレートに届いた。

お金とかではなく、純粋に「このレースを開催したい」「もっとトレイルランというこの素晴らしいスポーツを広めたい」という"純粋な想い"がストレートに伝わってきたのだ。

UTMFというレースは、正直なところ過去何事もなく開催できた年はそう多くない。毎年何かしらのトラブルに見舞われ、主催者も参加者も苦汁を舐めている。UTMFに限った話ではないが、今回も"またしても"だ。今回のこの決定を一番悔しく思っているのは紛れもなくこの3人だろう。

でもその「悔しさ」が直球ど真ん中でいち参加者である僕にもしっかりと伝わってきた。僕らも悔しいが、主催者も悔しいのだ。

ちなみに、UTMFの参加者は"たった"2400人だ。フィールドが山ということもあり、そのキャパシティー故に大型マラソンなどに比べると参加者は圧倒的に少ない。

比較するものでもないかもしれないが、2万人3万人という人が影響を受けた大型マラソン大会の中止連絡で、ここまで「誠実に」参加者と向き合ったものがあるだろうか。僕はいまのところ知らない。

なんだかUTMFはいつも「忘れかけていた大切なこと」を気付かせてくれる。

ここまでのエモい感想とは別に、一つ真面目な感想も述べておきたい。

今回の発表で素晴らしかったのは、どのような背景や経緯で今回の判断を下したのかという「決定に至るプロセス」を細かく明らかにしてくれたこと、そして、開催したときに生じる「リスク」が、「どこにどれだけ存在するか」ということを具体的に述べてくれたこと。これらにより納得感が深まったのは間違いない。

また、安くないエントリー料を払っている参加者としてぶっちゃけ気になる収支についても、「すべて公表します」と断言してくれた。

中止になっちゃったのは別にもういいのだ。今回不可抗力だし。そこに「納得感」があれば、ほとんどの人は気持ちを「成仏」できる。

大事なのはこれだよこれ。自分もイベントを企画・主催する端くれ、肝に銘じよう。

結論、僕は「UTMF」という存在をさらに好きになった。

前段の感想で書いたように、来年はまた出れないかもしれない。ベストはもちろん「ランナー」として、次点は「サポート」としての参加だが、もし仮にランナーやサポートでなくても、何かしらの形でUTMFには関わりたいと思う。

UTMFの哲学。

会見の中で記者からこんな質問があった。

「さまざまな参加者がいる中で、『トレイルランは究極の自分を試す機会。例えサポートなし、エイド提供なし、式典なしであっても、100マイルの完走を果たしたい』という人もいるだろう。そういう人に対してどのようなメッセージを送るか。」

それに対する鏑木さんのコメントを紹介して、今回の備忘メモを締めたいと思う。

以下、鏑木さんの言葉。

「確かにそういう考え方もあるし、そういうスタイルも否定しない。素晴らしいと思う。ただ、僕がそもそもUTMFを作ったきっかけが、世界最高峰のUTMBの舞台。あの時に感じたのは、多くのスタッフ、ボランティア、各国選手と、時を同じくして旅をしながら、ただ単にレースだけでなく、いろんな人生の価値観を共有した。そういう時間。それこそがウルトラトレイル。なので、ソロで走るということは、大会自体として僕の哲学とは違う。それ(ソロで走ること)がUTMFかというと、そうではないと思っている。」

これぞ、UTMFの哲学。これを聞いて僕は興奮した。嬉しくなった。僕がつい先日、UTMFからの開催可否に対する見解をみたときに、直感的に「大切にしなければ」と思った感情がまさにこれだった。

鏑木さんのその想い、ちゃんと届いてるぜ。

このエントリーを読んでくれた皆さんにも、UTMFってこんな想いが詰まったレースなんだぜ、とまったくの部外者ながらも是非知っておいてもらいたかったので最後にシェアしておきたい。

さーて、UTMFがなくなったので、GWはどこかの山々を思いっ切り縦走するぞー!

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