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【UTMFに向けて】ただいま連戦連敗中。ウルトラトレイルにおける「眠気対策」(その③)

一昨日、UTMFに向けて参加していた「100マイル完走させます」@ちゃんぷ練の最終回があった。最終回は座学で、テーマは「トラブル対処法」や「レースプランニング」について。

いろいろと、タメになる話、自分で調べていた知識の理解をさらに深めてくれる話などいろいろあったのだが、「トラブル」の一つとしてでてきた内容がまさに「眠気」。

この講義での眠気に対する最大の対処法は、ざっくりまとめると「人と会話をすること。以上!」といったものだったのだが、それだけではここまで「眠気対策その①・②」と、結論(=具体的な対策)を散々引っ張ってきた僕の立場がなくなってしまうので笑、僕なりの結論や対処法を、もう少し詳しく 且つ 複数提示していきたい。

▼その①・②はこちら

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あ、ちなみにその①と②のキャプチャ写真は、昨年のFTR100k(①)、上州武尊120k(②)のレース中、睡魔に負けてガチで寝ている図である。今回はこうならないようにあれやこれやと調べてはいるわけだが、悲しいかな今回は2昼夜の戦いなので確実にこうなることはほぼ目に見えてはいる。

とはいえ、本番を迎えるまでのこのプロセス自体が楽しいのであってそれはそれで別にいいのである(笑)

というわけで前置き終了。

目次

眠気対策「5選」

前回その②で、世に出回っている「眠気対策」を列挙してみたが、その中からUTMFに向けて”ツカエル”ものは果たしてどれなのか。「取り組んでみる価値がありそうなもの」を超独自目線で勝手に5つ選んでみることにする。

とはいってもどれも王道といえば王道の対策。ただ、5選のうちの「ある1つ」については、今回いろいろと調べた中でも自分自身がすごく勉強になったものなのでしっかりと書いておきたい。ちなみにそれは5つ目。

1.カフェイン抜き

ロングレースに限らず、なにかしらのレースに向けてこの「カフェイン抜き」を試したことがある人も多いのではないだろうか。

カフェイン抜きの目的は「カフェインによる覚醒作用を最大化させる」ことだと思っているのだが、もう一つ大事なポイントがあったことを今回調べていて発見した。

まずはカフェインの基礎知識として、以下3点はインプットしておくべし。

メリット①:覚醒作用がある

既に何度も書いているが、もう少し詳細に踏み込むと、カフェインが睡眠誘発物質である「アデノシン」を脳内でブロックする作用があるらしい。それにより、覚醒状態となり集中力が高まる。

メリット②:脂肪燃焼効果がある

これが今回の発見。発見というか、「カフェイン=眠気対策」の印象が強すぎて、こんな効果もあったことをすっかり忘れていた。

カフェインには脂肪組織からの脂肪酸の分解を促進する働きがある。つまり、体内に蓄えられた脂肪を効率的にエネルギーとして使えるようになるということ。

まぁでもこのメリットは、ロングレースの当日の対策というよりは、もっと長期的に取り組んでこそ効果のあるもののような気がするので、あくまで参考までに。

デメリット①:利尿作用がある

3つ目はデメリット。これも個人差がありそうだが、よく聞く話ではある。「眠気対策のためにカフェインを摂る vs 利尿作用のためにカフェインを摂らない」 の天秤であれば、僕は間違いなく前者を選択する。肉を切らせて骨を断つ。…違うか。

いずれにしろ、カフェイン抜き(=レース当日のカフェイン摂取の効果を最大化させる)の効果は「人それぞれ」というのが僕の実感。いかんせん、僕自身がその効果を実感できていないから。

ただし、前回の記事でも書いたが、「やれることはなんでもやる」のが今回の眠気対策大作戦の大前提なので、今回も「カフェイン抜き」はやるにはやる。

メインの対策には据えていないので、効果があったらいいなーぐらいの気持ちでとりあえず2週間前を切った昨日あたりからカフェイン抜きを始めたところである。

No Coffee, No Life. な人は「デカフェ」なんてもので代用するのもありだろう。

山猿の具体的対策:カフェイン抜きは2週間前から一応やる

2.カフェイン入りジェル

お次はカフェイン入りジェルについて。

これについても、まずは以下の点を押さえておくべし。(ジェルの基礎知識ではなく、こちらもカフェインの基礎知識)

カフェインが効くまでの時間

これは「カフェイン摂取後30~60分後」に効果が表れ始める(=カフェインの血中濃度が最大になる)というのが一般的な見解。まぁ実感値としてもそんなところだ。(…あ、実感値とかいって毎回効いてないから説得力ないけど。)

つまり「眠くなってからでは遅い」ということだ。これは経験上自信を持っていえるが、眠くなってから飲んでも本当に効き目はない。何本飲んでも効かない。朝まで眠い。これだけは間違いない。なので、タイミングが難しいが「眠くなる前に摂取する」のが正解。

効果が期待できるカフェイン摂取量

効果が出るのはおよそ「体重1kgあたり2mgから」らしい。つまり、体重60kgであれば120mg。この数値、僕はけっこうぶったまげてしまったんだが、皆さんはどう感じただろうか?

だって、一般的なエナジージェル(カフェインver)のカフェイン含有量は、だいたい「15~25g」ぐらいである。とすると、1本摂取したって効くわけないじゃん…と。もしかして、これまで効果がでていない理由ってこれか??単なる摂取量不足??

この事実を知って僕は迷いなく今回投入するカフェイン入りジェルを決めた。梅丹(メイタン)だ。

梅丹はジェルの中でも圧倒的なカフェイン含有量を誇る。いくつか種類があるが、これ(↑)はカフェイン含有量なんと200mg!カフェイン含有量だけで比較すれば、マグオンレモンフレーバーの8本分!

でも200mgだとさすがに胃への影響が心配なので、含有量100mgのこちら(↓)も候補に入れている。

ちなみに皆さんが普段喫茶店飲んでいるドリップコーヒー1杯のカフェイン含有量は、ゆうに100mgを超えているので実は上記数値はそこまで驚くべきものではない。

山猿の具体的対策:カフェイン入りジェルは「梅丹」を投入する

3.咀嚼(そしゃく)

「咀嚼」が眠気に効くというのもよく話だが、僕は今回はガムは持っていかない。

別に味がなくなっても噛み続けられる人なので、そういう意味ではガムでも問題ないのだが、ガムの問題点としては、「噛み続けていると、結局飽きて眠くなる(眠気覚ましにならない)」ということ。

ガチで咀嚼を眠気対策として行う場合の着目すべきポイントは、おそらく、単に咀嚼という「行為」に留まらず、咀嚼の「強度」、つまり「歯応え」を追い求める必要があるのではないかと思っている。

そう簡単に噛み切れない”何か”。

そう、あれだ。

「スルメイカ」。

山猿の具体的対策:歯応えのある「何か」を持っていく(スルメイカが濃厚)

あ、ちなみに別にスルメイカは好物でもなんでもなく、現状思いつくものがこれしかないだけなので、なにか他に「美味くて歯応えのあるもの」があったら是非教えてほしい。

4.会話

これは冒頭述べたちゃんぷ練の講義で、もっとも強く結論付けていたことだが、僕も同意である。

僕はこれまでのロングレースはすべて相方と一緒に参戦しているのだが、基本的に僕らはそう多くは話さない。もちろん全く話さないわけではないが、必要最小限のコミュニケーションしか基本取らない。

ロングレースは時間が経つにつれて疲労が蓄積してくるので、徐々に話す気力自体なくなってくるのだが、それが夜パートともなると特に会話は減る。

ただ僕としては、話さないと眠くなるのがわかっているのでちょいちょいと会話を試みることもあるのだが、くだらないことで話しかけると「うるさい」と一蹴され、この後のコースや戦略について確認の意味も含めて話しかけると「自分で確認せい」と怒られるので、極力会話を控えるようにしている。

ただ今回は状況が違う。なんといっても「2昼夜」だ。一蹴されようが怒られようが関係ない。そんなことでめげていては、100マイルの旅路は完走できない。

さらにポジティブに捉えるなら、「こんなくだらないことで話しかけれたら怒られるかも」といったある種の”緊張感”も眠気対策としては効果的であり、良くも悪くも気心知れた「パートナー」が常に近くにいるということを最大のメリットにすべく、会話を心掛けようと思う。

山猿の具体的対策:一蹴されようが怒られようが積極的にコミュニケーションを取りにいく

5.脳の低血糖防止

今回一番勉強になったのはこれ。眠気と低血糖との関係について。

眠気の原因に「低血糖」があるのはご存知だろうか。「眠くなる」とはつまり、脳にエネルギーが回っていない(=脳が低血糖に陥っている)状態を指す。

ひとつこれを表す事例としてわかりやすいのが「ランチ後の眠気」。あのメカニズムは以下の通りだ。

  1. ランチでご飯大盛りの定食を食べる(※米は炭水化物の塊なので血糖値を上げる)
  2. 血糖値が急激に上がる
  3. 血糖値の上昇を抑えるためにインスリンが大量に分泌される
  4. 血糖値が急激に下がる
  5. 脳が低血糖になり眠くなる

1に関しては、朝食を摂らずにお昼時にはめちゃくちゃ空腹→いざランチで大食い&早食い、なんてことをすると、血糖値の急上昇っぷりがすごいことになるので、その反動(急下降っぷり)もすごいことになる。

結果、ランチ後は脳は死亡状態。

血糖値の急上昇を抑えるために「まずはサラダから食べましょう」とか「ゆっくり噛んで食べましょう」というのはそのためだ。僕は相方の影響もあり、平日のお弁当には米を持っていかずサラダとおかず(肉やらなんやら)のみなのだが、この食事に変えてから、お昼後に眠くなるということがほとんどなくなった。元々はほぼ毎日眠くなっていた時期もあったので、その変化には自分でも驚いている。

話が逸れたが、何をいいたいかというと、この「低血糖状態を防ぐ」ことが眠気対策のポイントになるということ。

ではこれをUTMFという状況に置き換えたときに具体的にできることは何か。思い当たるところを挙げてみる。

以下、山猿の具体的対策。

血糖値を上げやすい補給食を(時間帯によって)控える

血糖値を上げやすいものとして、例えば、「羊かん」や「コーラ」などは極力控えたほうがいいかもしれない。他で代替できるのであればそうしたほうが身のため。

ただ、すべての補給食をその方向に変えるのはおそらく無理なので、ナイトランの時間帯の補給食を工夫する、などが現実的かもしれない。工夫のしどころ。

ちなみに一般的にいう「血糖値が上がりやすい食品」とは、すぐにエネルギーになりやすいご飯やパン、果物、砂糖などの炭水化物の多い食事のこと。

逆に「糖が穏やかに取り込まれ、血糖値の上昇もゆるやかになる」、いわゆる「低GI食品」は麦や玄米などが代表格だが、ことUTMFのレースでそこまでは拘れないので一旦知識として頭に入れておく程度でよいかと。

腹を空かさない

先に述べた通り、空腹の状態でその空腹を満たそうと一気に補給をすると血糖値が急激に上がってしまう。そうならないために、あらかじめプランニングした補給タイミングでしっかりと補給をし、100マイルの間中、「空腹感」を感じる時間を作らないことが大事。

エイドでは富士宮やきそばも食べたいし、おしるこだって飲みたい。「エイドの楽しみ」はトレイルランの一つの醍醐味でもあるので、それを削ってしまうのはなかなかにストイックすぎる。なので、せめて「空腹状態でエイドに入らない」ように気をつけようと考えている。

ちゃんぷさんも一昨日同じことを言っていた。

「たとえエイドにあと5分で到着するとしても、あらかじめ決めた補給のタイミングがきているならば、そこでしっかり補給を摂ってからエイドに入ること。」

ブドウ糖を補給する

これは最近流行りの「あれ」のことだ。そう、昔懐かしの「ラムネ」。これパッケージにも書いてあるとおり、「ブドウ糖90%」というシロ物。ほぼブドウ糖でできている。僕の90%はやさしさでできているが、彼の90%はブドウ糖でできている。

これ、プロモーションの効果も手伝ってか、いまや「集中力アップ」の特効薬として、多くのコンビニでポップ付きで陳列されているので、手に入れるのに困ることはないだろう。

僕は家のすぐ近くのスーパーにこいつが大量に仕入れられていたのを発見したので、買い占める予定。

ちなみに上記のパッケージのものであれば問題ないが、ボトル型のものを買う方は、レース当日はジップロックに入れ替えることをお忘れなく。でないと、シャカシャカうるさい。

まとめ

以上5つが、今回の眠気対策の個人的なポイント。一応再掲。

1. カフェイン抜き
2. カフェイン入りジェル
3. 咀嚼
4. 会話
5. 脳の低血糖防止

よく聞く対策もあるが、どういう理由でそれが効くとされるのか、そこを一つ一つ調べていくのがなんとも面白い。あとはこれを実践するのみ。

尚、上記「5選」には含めなかったが、当然のことながら「前日までの睡眠の質を高める」「前日によく寝る」といった点は眠気対策における大前提である。これが疎かになっていては、すべては「焼け石に水」。UTMF完走のため、飲み会の誘いも残業もスマホでSNSをいじってしまう誘惑も断ち切って、とにかく「最低限の必要睡眠時間」を割らないように生活をコントロールしよう。

自戒。

これだけ偉そうにいろいろ書いておいて、UTMFのどこかのエイドで(もしくはどこかの林道脇で)、首が取れちゃんじゃないかぐらいの角度で首を垂れ下げてぐっすり眠りこけていたら、その時は……そっとしておいてください(関門とか近かったら起こしてください)。

以上、眠気対策、終了。

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