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【UTMF2019 参戦記⑤】時系列振り返り(A4精進湖~A6忍野 ※レース短縮)

少々間が空いてしまったが、時系列振り返りラストは今回の終着点となったA6忍野までを駆け抜けたいと思う。そしてもう一つ、印象に残った「閉会式」についてもちょろっと。

▼A4精進湖までのレポはこちら。

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それではレース終了までの怒涛の展開スタート。

目次

A4(精進湖)~A5(勝山)【78~95㎞】

【A4精進湖データ】

予定時刻(IN):02:54
実績時刻(IN):06:46(差異:+232分)

予定時刻(OUT):03:24
実績時刻(OUT):07:41(差異:+257分)

累積時間:(IN)18時間46分 (OUT)19間41分
通過順位:(IN)1332位 (OUT)1170位

A4精進湖到着 -「戦略的仮眠」

朝7時前、A4精進湖に到着。予定ではまだ暗いはずの3時頃には到着している予定だったが、序盤の渋滞が尾を引き、予定より約4時間の遅れ。まぁこれはもう仕方ないので切り替えている。

それよりも、ここA4精進湖はお待ちかねのサポートエイドである。サポートエイドは本当に嬉しいもので、早く着きたくて仕方なかった。上記IN/OUTの実績を見てほしいのだが、嬉しすぎて、エイド滞在予定「30分」のところ、なんと「55分」も滞在してしまったではないか。(後日相方よりたんまり説教をされたのはいうまでもない。てへぺろ。)

この「55分」に影響をもたらしたであろう行動に、僕の「仮眠」があったのだが、先に言っておくが、これは「戦略的仮眠」だ。決して、眠くて眠くて仕方なくて取った行動ではない。

なんせ僕は、レース前に眠気対策の記事(↓)を3部作に渡って書いているのだ。レース半分程度の時点でくたばっていては僕がこの記事に費やした労力は何だったのか、という話になってしまう。もう一度言うが、これは「戦略的仮眠」である。

一晩動き続けているので多少眠かったのは確かだが、眠気に耐えられくて…というレベルのものではなかったことを強くお伝えしておきたい。

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ひとまず15分の仮眠を取ったわけだが、その時に感動したのがサポートネムさんの気遣い。仮眠を取るにあたって、はじめバスタオルを渡してくれたのだが、いざ横になってみると意外と寒い。すると何も言葉を発していないにも関わらず、もう一枚ジャケットか何かを上に静かに重ねてくれたのだ。

こんなことうちの相方にもしてもらったことがない。

無事に保温性を手に入れた僕は、しっかりと戦略的仮眠を取ることができた。本当に痒いところに手が届く神サポートである。

起床後は、ドリンクの補充、補給食の入れ替え、ウェアの着替え、シューズの変更、お待ちかねのカップ麺系の補給、カフェオレの補給、会いたかったA4ボラの方との写真撮影、などをやっているうちにあっという間に予定時間を超過。

▼紫ビブスはちゃんぷさん。

最後すべてやり終えたタイミングでトイレに行きたくなったのだが相方にあえなく却下され、膀胱に爆弾を抱えたままA4精進湖を後にした。

A5勝山まで – 秘密兵器「メイタン(カフェイン100g)」

A5勝山まではまずはひたすらロードを進む。昨年参加した富士五胡5Lakesでは”灼熱”の中、孤独に走った思い出のロードである。

このロード区間、わかってはいたがとにかく長い。時折パワーウォークを混ぜながら基本はジョグで繋ぐ。”繋ぎのロード”をどのように進むべきかの心得は、”ちゃんぷの教え”が拠り所となっていたので、ひたすらそれを意識して進んだ。

ロードが終わると、待ち受けるは「足和田山」。

足和田山に入る頃には、なんと晴れ間が見えてきた。誘導の方からも「今日はもうこのあと晴れ予報です!雨降りません!」との嬉しい情報をGETし、ヒャッホー気分で足和田山に突入。(山の天気は当てにならないことをこの後思い知るのだが)

ちなみに足和田山については、相方から「5㎞だらだら登って3㎞下り。だるめ。」という事前情報をインプットされていたので、これは先ほど「戦略的仮眠」を取ったとはいえ眠気が襲ってくるかもしれないという想定を立てる。

案の定、足和田山に突入してしばらくするとなんとなーく眠い感じがしてきたので、ここで今回の秘密兵器「メイタン」を投入。カフェイン含有量100mlと200mlの両方を持っていたが、超秘密兵器(=カフェイン200ml)は2日目の夜まで取っておきたかったので、ここでは100mlメイタンを選択。

結果、これがめちゃくちゃ効いた。

補給して少しすると完全に覚醒。その後次のエイド勝山に至るまで眠気とは無縁の「無敵山猿」がここに出現した。

これは本当に効いた。含有量100mlでこれだから200mlだといったいどうなってしまうのか。それはそれで反動が怖いが、とにかく予想以上の効き目にビックリ。

普通におすすめなので(というか結果が出たので)載せておく。

「無敵山猿」のまま、サポートエイド「勝山」に到着。

A5(勝山)~A6(忍野)【95~114㎞】

【A5勝山データ】

予定時刻(IN):07:05
実績時刻(IN):10:46(差異:+221分)

予定時刻(OUT):07:25
実績時刻(OUT):11:17(差異:+232分) 

累積時間:(IN)22時間46分 (OUT)23間17分
通過順位:(IN)1186位 (OUT)1186位

A5勝山到着

A5勝山到着。ここもサポートエイドだ。ネム先生が笑顔で迎えてくれる。勝山のサポートエイドは室内なので、天候の影響なし。これは選手としてもサポートとしてもとてもありがたい。

到着次第、まずはトイレに直行。A4精進湖では最後にトイレに行こうとしたら却下されたので、ここは学習。

勝山ではネム先生に頼んでおいた「フルーツポンチ」!激ウマ。というか、なんと選手の気分に合わせて選んでもらえるようにと、三ツ矢サイダーと炭酸水の両方を用意していてくれた。やはり神サポート。僕は三ツ矢サイダーを選択し、シュワシュワとともにありがたく胃に収めた。

エイド滞在は予定20分のところ実績30分。メイタン効果で無敵山猿はまだ継続していたので、仮眠は取ってはいないが、エイドではなんだかんだけっこうやることが多くてあっという間に時間が過ぎていく。ここでも10分超過。

最後はネム先生に追い出されるようにA5勝山を出発。一応100㎞弱進んできたはずなんだが、まだまだスーパー元気。よっしゃ、行ってくるぜ、ネム先生。次に会えるのはA7山中湖きらら。

A6忍野へ – 明らかな気温低下と降りしきる冷たい雨

A5勝山を出たのは11:17.その後しばらくして、ネム先生から下記メッセが入る。

山中湖の方ずっと雨らしいです。

さすがに「いいね」は押せず、「怒り」マークでリアクション。今思えば、これ「泣き」マークでよかったんじゃないか。別にネム先生には怒ってないです。

ロードをしばらく進んでいると、ネム先生の仰るとおりポツポツと雨が降ってきた。始めは弱かったが、だんだんと強くなりレインが必要なレベルになってくる。朝方晴れ間が出ていたのが嘘のような立派な雨。

「2日目もまた雨か…」と思う。

…が、特に心が折れたわけでもなく、ただそう思っただけ。何が起きても驚かない。ウルトラトレイルランナーとは常にそういう心持ちである。(とかいって、この後の展開には驚いたけど)

そんな雨降りしきる状況のまま、小倉山(おぐらやま!)へ突入。

ここからはとにかく雨の記憶である。

走り始めると多少の雨は気にならなくなるものだが、この区間でははっきりと「雨」を認識しながらの進行となった。そう感じたのには理由があって、一つ目は、単純に雨足が強くなったこと、二つ目は、レインが浸水してきたこと、である。

びしょ濡れではないにしろ、徐々に徐々に腕などが濡れてきたことを感じていた。しかも気温が明らかに下がってきており、雨が冷たい。冷たい雨が染みる。つまり、寒い。

精進湖以降は腹巻をしていたため、体の深部はまだまだ問題ないが、腕が冷たい。さらに、レインパンツを履いていなかったので、ショーツが濡れて太ももが冷たい。そしてなんといってもグローブがビショビショで手がかじかみ始めた。(断続的な雨により相変わらずトレイルはドロドロで、木の枝や幹を頼りに登り降りをすると、木に含んだ水分が一瞬でグローブにいきわたってビショビショになってしまった。)

あまりにも寒くなってきてこのままだと体温が下がってしまうと感じたので、相方に「このままだと低体温になりそうだから、ちょっとガツガツいくわ」と伝え、運動強度を少し上げた。

相方からは「いいけど、後悔しないように(=あとで迷惑かけないように)」のようなことを言われたが、普通に寒くて嫌な予感(=低体温症の予感)がしていたのでそれどころではなかった。

小倉山の登り下りはそんな感じでしばし単独走行。

その後、山を下りてロードを走っている途中にスマホがブルブルと鳴った。僕はガーミンに通知が飛ぶように設定していたので、スマホを見ずともその鳴動が大会本部からだとすぐにわかった。

…がしかし、この時の通知はご覧の通り「雷注意報が出たので注意せよ」との注意喚起の連絡であった。正直この連絡がきた13:49という時点でかなり寒く、雨も強くなっていたので、「これは中止の可能性もあるな」と思っていたが、とりあえずまだレースは続行される。

いずれにせよ、天候がかなり不安定になっていることは明らか。その後進むにつれ雨はさらに強くなっていく。

「このコンディションで完走したらけっこうすごくね?」みたいな話を相方としながらも、今の自分の装備だとこのあとの夜パートで突入する杓子山で間違いなく死ぬ、これはサポートのネム先生が持っていたカムレイカのレインジャケットを借りようか、などの話もしていた。

そして、心の中では(これはマジで中止もあり得るな)とも思い始めていた。

途中、誘導の人が「このあとの杓子山で積雪があります。このあとは自分の装備の状況も考えて自己責任で進んでください。」と杓子山のトレイルが真っ白になっている写真をスマホに表示させながらアナウンスしていた。

次第に雨はみぞれに変わった。いよいよ寒くてどうしようもない。まだ震えはないので低体温症にはなっていないものの、このままこの気温の中濡れ続けると確実にそうなることは明白。

正直この時点で僕の心の中では「自己申告リタイア」という文字がかなり大きな領域を占めていたのは事実である。

本当に強く格好いいトレイルランナーとは、「大自然とうまく付き合いながら(大自然をうまく受け入れながら)、大自然を楽しめるランナー」であって、「軽装備で雪山に突っ込んででも完走を果たすランナー」では決してない。

それは、強くもなく格好よくもなく、単純に”愚か”なだけ。最終的に人に迷惑をかける。そういう意味で冷静にこの時の自分の装備、天候状況を鑑みて、「自己申告リタイア」がもっとも妥当な判断だったと今振り返ってもそう思う。

そんなことを思いながら、寒さに凍えながらA6忍野に到着。

A6(忍野)※レース終了

【A6忍野データ】

予定時刻(IN):11:13
通過時刻(IN):14:50(差異:+217分)

累積時間:(IN)26時間50分
通過順位:(IN)1120位

A6忍野エイド(室内)は、選手でごった返していた。

既に低体温症気味になり、タオルやエマージェンシーブランケットに身を包みブルブル震えている人、強くなる雨とさらに冷え込んでいく空気を前にこの先に進もうか迷っている人、すでにリタイアを決めた人。

いろいろな感情が渦巻いていた空間。

僕たちも強くなる雨足に身動きを取れずに忍野でステイ。サポートネムさんにも状況を連絡。

しばらく待機していると、エイドの大会スタッフから「レース中止」の正式アナウンスが発表された。

その後、大会本部からもメッセージを受信し、僕らの100マイルレースはここで正式に幕を閉じた。

この時に多くの選手が感じた感情は、間違いなく「安堵」だと思う。

中止になってよかった。
中止になってホッとした。

そんな感情。

UTMFに懸けてきた想いをも上回るほどにこのときの天候は異常だった。どう考えてもトレイルランの軽装備で山に入ってはいけない状況だった。「どうしようもない」と納得せざるを得ないコンディションだった。

自然とは偉大で美しいが、時に脅威。

そんなことを感じた幕引きとなった。その辺りの感情はレポート①にまとめてあるので下記をお読みいただきたい。

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その後、サポートネムさんがすぐに車で駆け付けてくれて、河口湖のホテルまで送り届けてくれたのだが、途中で雨が止み、なんと晴れてきたではないか。その時に見た富士山の姿が忘れられない。

普通は山頂から3割ほどまでしか雪が被っていないこの時期の富士山が、中腹はおろか裾野まで真っ白になっていたのだ。思わず3人で「おぉー!」歓声をあげた。写真を撮り忘れたのが惜しい。

美しいのもそうだが、なんだか今回の大会の「象徴的な」富士の姿だった気がする。

レース翌日:閉会式

UTMFの参戦レポートとして、僕らの旅自体はすでに前項で完結したのだが、最後にどうしてもこの「閉会式」までを書いておきたかったので、もう少しだけお付き合い願いたい。

僕がUTMFに出て本当によかったと思えた理由として、「閉会式に参加したこと」が多分に影響している。理由はいくつかあるのだが、特に皆さんに共有しておきたいことが一つだけあるので、それをお伝えしてレポートを締めたいと思う。

2400人の参加者に対して、1500人のボランティアがいた。

閉会式に参加した人はこの数字を覚えている人もいるだろう。

おそらく毎年閉会式での恒例コンテンツなのだとは思うが、閉会式の最後の最後に福田六花さんがボランティアへの感謝を述べるシーンがあった。そのときに聞いた言葉がこれ。

「2400人の参加者に対して、1500人のボランティアの方々が頑張ってくれたんです。支えてくれたんです。作ってくれたんです。」

六花さんの魂が込められた「心からの感謝」が伝わってきて目頭が熱くなった。正直この数字を聞いて驚いた。そんなに多くのボランティアの方々がいたのかと。そんなに多くの人たちで支えられていたのかと。

僕も六花さんほど情熱的には言えないが心から感謝を述べたい。

本当に最高の大会をありがとうございました。

最後の最後に

だいぶ長くなったが、これで本当の最後。

最後に紹介したいのは、今回サポートについてくれたネムさんのサポート目線でのレポート。その名も「サポレポ」。

これが超絶面白い。…と同時に、感謝感謝感謝×100というぐらい僕ら「チーム猿亀」改めて「チームもたもた」のことを常に考えて行動し続けてくれていたことを、このレポを通じて知った。(※なぜ「チームもたもた」なのかはサポレポを読めばわかります)

1つの事象を2つの視点から見るという、なんだかゲームみたいな感覚だが、是非僕の長文レポも読み返しながらw、是非読み比べてみてほしい。

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ということで、UTMFレースレポートこれにて終了!あー長かった!笑

また来年会おうぞ、UTMF!

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