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【感情の備忘①】UTMF2020「大会開催可否」のリリースをみて感じた「大切にしたい」気持ち。

コロナが猛威を奮っている。イベント中止の嵐嵐。 漏れなく僕も影響を受けた一人だ。初の海外レースやらサブ3を狙ってたレースやらがどんどん予定表から消えた。

残念な気持ちはもちろんあれど今回ばかりは致し方なし、とおおかた消化できているのだが、先日発表された”UTMF”に関しては、ちょっと特別な感情を抱いた。

特別な感情とはいっても、このレースに何かしらの形(ランナーやサポート、ボランティア等)で関わる予定だった人たちは、きっと同じような感情を抱いたと思うので、そういう意味では特段変わった感情ではないと思う。

でもさらっと流してしまうにはもったいない、たぶんこれは「大切な感情」だと思うので、偉そうに代弁しておく。

目次

UTMFからの発表

まずはUTMF(ウルトラトレイルマウントフジ)からの発表を共有したい。

全文はサイトに譲るが(下記リンクから飛べます)、今回の感情を抱くことになった「開催時の運営方針」とその「具体的な内容」のみ抜粋する。

UTMF2020 新型コロナウイルス(COVID-19)対策に伴う開催可否対応について

3)開催時の運営方針
開催にあたり新型コロナウイルスの感染リスクをできうる限り下げる為、
「レース以外の運営は極力避ける」「レース中もなるべく人や物の接触を避ける」事を基本方針として以下の対策を実施します。

 ①受付時の問診および体温測定の実施
 ②スタッフは全員マスク・手袋の着用、消毒の徹底
 ③参加者のプライベートサポート行為の全面禁止(エイド含む)
 ④全エイドの応援者立ち入り禁止
 ⑤全エイド提供物の全面見直し(特に調理物)
 ⑥会場内及びエイド内等でのコンディショニングケアサービスの中止(マッサージ・テーピング等)
 ⑦マルシェ(飲食ブース)の出店の見合わせ
  ・4/24 富士山こどもの国
  ・4/25,26 河口湖総合公園
 ⑧式典関連を無観客で実施し、LIVE配信対応とする
  ・4/23 選手ブリーフィング、プレスカンファレンス
  ・4/25 表彰式,閉会式、プレスカンファレンス
 ⑨イベント関連の中止
  ・4/23-26 UTMF EXPO
   4/23,25,26   河口湖総合公園
   4/24     富士山こどもの国
  ・4/24-26 富士山ぐるりラリーの景品交換(但し、期間を延長し次回大会にて対応)
 ⑩特定の国や地域の在住者の参加自粛要請

2月下旬に大会実行委員長の鏑木さんからこんな発表が出された。

次項で感じたことを書くが、100マイルレースの素晴らしさを一番知っているであろう鏑木さんの心中察すると心が痛む。

中止ではないけども

ひとまず「中止」ではないことに安堵をしたことは間違いない。予断を許さない状況は続くと思うが、現時点ではまだ開催される方針である。

ただ今回このリリースをみて、エントリーしている誰もが感じたはず。

「え、まじか…」

レースは開催される。100マイルへの挑戦権を失ってはいない。夢にまでみたUTMFという舞台で自分の限界にチャレンジできる。UTMFのために努力を重ね、その成果をぶつける舞台は変わらず用意されている…

でもなんだろう、この「寂しさ」は。

今回のリリースをみて「空虚感」や「心細さ」を感じた人がたくさんいたのではないか。

上記リリースの「基本方針」を再掲する。

「レース以外の運営は極力避ける」
「レース中もなるべく人や物の接触を避ける」

仮にこのまま中止にならずに開催されたとしても、今回用意されている舞台は当初のそれよりも”過酷”だ。「己との闘い」の度合いが圧倒的にあがる。

もちろん今回の発表がなくとも、100マイルレースが「己との闘い」であることには変わらないのだが、今回待っているのは「”究極の”己との闘い」である。

ちなみに今回はこのリリースに対する是非を問いたいわけではない。この状況では仕方のない判断だし、主催者を咎める気持ちもまったくない。

それよりも、このリリースでなんだか感じた「寂しさ」については、今後僕がトレランを続けていく上で、特にロングレースに挑戦を続けていく上で、「大切にしたい感情だな」と思ったので、忘れないようにこのエントリーを書くことにした。

失ってはっきり気付いた「100マイルレースに求めているもの」

なぜ「寂しい」と感じたのだろうか。 「寂しさ」の正体は何か。

ちなみに先に言っておくと、僕は今回このレースには「サポート」として参加予定だった。ランナーとしての参加は残念ながら叶わず、相方のサポートとして100マイルを”併走”することになっていた。

そんな「サポート」という役割であっても感じた「寂しさ」。この正体は何か。言い換えると、僕は「何を」このレースに求めていたのか。

その正体に、「本来あるはずのもの」を失って、今回はっきりと気付いた。

僕が100マイルレースに求めているもの。

それは、「旅の共有」

ランナー目線での話になるが、僕はたった一人でただ寡黙に、100マイルという馬鹿げた距離を走り切りたいわけじゃないのだ(ということに気付いた)。

僕は修験者ではない。一般的にみたら少々ストイックな部類にはいるのかもしれないが、トップランナーを目指そうとも思っていないし(もはや目指せない)、別に悟りを開こうとも思っていない。

なぜこれまでロングレースを続けてこれているかというと、それは間違いなく「仲間」がいたからだ。頑張れ頑張れと応援されてはパワーをもらい、頑張れ頑張れと応援しては応援している側なのになぜだかパワーをもらう。

たぶん一人孤独に闘っても100マイルを完走できるかもしれないが、僕はそれを望んではいない。フィニッシュしたときに「あれ、俺、なんでこんなことやってんだろ…」となるだろう。達成感はあるかもしれない。でも単独では、その「余韻」を楽しむことはできないだろう。

100マイルも走ったのだ。達成した余韻に1ヶ月ぐらい浸りたいじゃないか。そのときに一緒に語り合える「仲間」がいれば、余韻は幸福感にきっと変わるはず。

そういえば「100マイルに挑戦する理由」の一旦の答えとして、以前にこんな記事を書いたことがある。昨年のUTMF参戦前に書いたものだ。

【UTMFを前に思うこと】100マイルなんて走らなくたって人生は生きていけるけれど。

このエントリーで僕は、「なんで100マイルなんて距離を走るのか」と自問自答した結論を、『「幸せ」のために100マイルを走るのだ』と書いた。

これはこれでたぶん間違ってはいない。この時の正直な自分の感情だった。でも他にも「100マイルを走る理由」があったことに、今回気付いた。

「旅の共有」によって「幸せは増幅」する

先に結論をいう。

僕は「幸せ」のために100マイルなんて距離に挑戦するのだが、その「幸せ」は誰かと「共有」することによって何倍にも「増幅」される。

これが今回の大きな、そして大切な気付き。

辛さも痛さも楽しさも嬉しさも、レースを通して湧き出てきた感情を分かち合える「仲間」がいてこそのロングレースなのだ。100マイルレースならそれはなおさら。

100マイルという途方もなく長くて辛い旅を仲間と「共有」しながら挑戦できることに、UTMFという華やかなレースの大きな価値があるのではないか。(UTMFに限った話ではないのだが、UTMFはとりわけそれを感じるのであえてUTMFと書く)

なので極論をいうと、サポート制度のない100マイルレースには僕はあまり出たいとは思わない。

旅は波乱万丈なほど共有したくなるもの。

旅の経験を誰かと共有することで、楽しかった話はさらに楽しく、辛すぎる話は逆にネタとして笑い飛ばせるかもしれない。100マイルレースなんて波乱万丈に決まってる。何が起こるかわからない。共有したくなるネタはいくらでも出てくるだろう。

そしてもうひとつ。

波乱万丈な旅を共有した仲間とは絆が深くなるもの。

深い絆で結ばれた「仲間」の存在は、間違いなく自分の人生を豊かにしてくれる。かけがえのないものになる。

こんな経験ができるから、きっと100マイルなんて距離に挑戦するのだ。

僕が今回直感的に「いま感じた感情は大切にしなければ!」と思ったのは、きっと僕の中で人生を豊かにしてくれるであろう「幸せ」に直結する感情だったからだと思う。

これはたぶん恋愛に似た気持ちだ

今回のUTMFで失ったもの。

ブース出展、式典、エイドの飲食(見直し)、応援、サポート。

これらがすべて、ない。物質的に失うダメージも大きいが、それ以上に、応援なし、サポートなしという「精神的な支え」を失うダメージは計り知れないと思う。次のエイドで皆が待ってるから!という気持ちを支えに辛さを乗り越えたことは一度や二度ではない。

果たしてどれだけの人が完走できるだろうか。

UTMF(100マイルレース)を形作っていた魅力って、僕が求めていたことって、きっとこういうことだったんだな。100マイルレースを通じて「人との繋がり」や「人との分かち合い」を求めていたんだ、きっと。

失って気付く、幸せの理由。

今回の件は、昨年感じた「100マイルを走る理由」を、あると思っていたものを突然失ったことによって、さらに深く気付かせてくれた出来事となった。

僕もなんだかんだ相方のサポートを楽しみにしていたのだけど、何もできなくなってしまって若干失恋したような気持ちでいる(惚気ではない)。でも逆にこのことに気付けたのは幸せだったのかもしれない。

なぜなら、より強くなれる気がするから。

って、どこの三流恋愛小説だよ。

少しでも早くこの状況が収束することを願うばかりです。

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