まずはじめにこれをお伝えしておきたい。
OMMに「事件」は付き物である。
OMMという競技は、山好きの中でも特にマニアックな人種が好んで参加する競技だ。故に、マニアックな人たちを満足させられるだけのコンテンツが主催者には求められる。つまり、必然的に競技そのものの難易度はある程度高くなる。
もちろんカテゴリーによっては“楽しむ“をメインに参加できるものもあるが、OMMの本質はきっとそれではない。いわゆる「ストレート」というカテゴリーでは、付け焼き刃ではないしっかりとした山スキルが必要。
これからOMMに挑戦しようと思っている人を脅すわけではないが、もしも中途半端な気持ちやスキルで臨もうものなら…
おめでとう、あなたのチームは晴れて「事件三昧」だ。
トップクラスのチームであれば、事件など特に発生せずスムーズに2日間を終えられるのかもしれないが、たいていのチームには何かしらの「事件」が発生する。それがOMM。
チーム山猿に「事件」が起こらないはずがない。

ということで、参戦レポ第3弾は「OMM事件簿」だ。チーム山猿に襲い掛かった「事件」をいくつかピックアップしてお届けしたい。
ちなみにチーム山猿に襲い掛かる事件は、いずれも「低次元」であることを先に断っておくw
そんなことほんとは事件にしちゃアカンでしょ… というレベルのものも多いのが正直なところだ。いかんともしがたい「不可抗力」で起こった事件もあるにはあったが、大半は「事前準備によって未然に防げる」はずの“アホなもの“が多かった。
鼻で笑ってくれて構わない。これは自戒のための「事件備忘録」なのである。
では、いざ参ろう。
ちなみに昨年も“事件三昧“につき、「事件ベース」でレポートをする羽目になったのは言うまでもなし。そのときの記録はこちら。去年も今年も事件三昧。つまりあまり成長していないということか!?(てへぺろ)
【OMMレポート②】”事件ベース”で振り返る「OMM JAPAN 2019 霧ヶ峰・車山」(2019年11月9・10日)
【OMMレポート③】”事件ベース”で振り返る「OMM JAPAN 2019 霧ヶ峰・車山」(2019年11月9・10日)
事件簿①「テントのポールあべこべ」
今回最大の事件はこれかもしれない。結論からいうと「なんとかなった」のだが、なんとかならなかった場合は大変なことになっていた(かもしれない)。
まずは今回のバディーだった相方のレース前夜のつぶやきからどうぞ。
なんのこっちゃわからないと思うので、状況を軽く説明する。
「クロスオーバードーム」とは今回チーム山猿が装備として選んだテントの名称。OMMではバディーと同じテントで野営するというルールがあり(※今年に限り、コロナ対策で別々のテントが許可された)、どちらかがテント装備を一つ持てばそれでOK。となると、まぁテント運搬担当は僕となる。
山猿家には一人用の「クロスオーバードームf」と二人用の「クロスオーバードーム2」が両方あるのだが、当然これらはテントのサイズが異なる。なのでテントに通す「ポール」の長さなども設計が異なる。
僕たちは少しでも荷物を軽量化すべく例年のルールに則り「テントは一つ」で臨むことにしたのだが、僕はあろうことか一人用と二人用のセットを“あべこべ“でパッキングした。
ちょっと言い訳をしよう。こちらをご覧いただきたい。黄色がテント幕、黒がテントの骨組みとなるポールだ。クロスオーバードーム「f」と「2」をそれぞれ並べてみた。

幕については一目瞭然、大きい方が二人用。間違える余地はない。しかし、ポールはどうだろう。この状態ではどっちがどっちだかわからない。
次にこちらの写真。僕はこのテントを購入した当初に“判別“のため輪ゴムをつけた。そう、一人用には輪ゴム1つ、二人用には輪ゴム2つ。

でも…あれ?あれれ??
両方輪ゴム一つになっとるやん!どっちがどっちだかわからんやん!絶対片方には2つ付けたはずなのになにかの拍子に外れたようだ。ということで混乱。
レース前日の金曜日は普通に仕事で一日バタバタしていた。一応前日までに一通りのパッキングは終えていたが、装備の「最終チェック」をする余裕もなかった。結果、僕は前夜に「こっちだろ!」というノリと勢いで突っ込んだセットを特に再確認せずにそのまま現地へと向かった。
で、結果、それは“あべこべセット“だった(笑)
最終的には冒頭のつぶやきにある通り、相方が「直感リスクヘッジ」を効かせ、もう一つのセットを持ってきていたので事なきを得たのだが、もしあべこべセットのままレースに突入していたら大変なことになっていた。
これが現場で発覚したときの状況を思い浮かべて欲しい。「この世の地獄かと思えそうな険悪な気まずい雰囲気」に僕は耐えられる自信はない。そして、確実に生じるであろう「バディとの亀裂」は、2日目のレース続行を困難にするほどの負のインパクトをもたらしたはずである。
フー、危ない危ない。
ちなみに昨日知ったのだが、特に輪ゴムなんぞつけなくても、そもそものポールの本数が違ったらしい。厳密には本数とはリンクしないが、わかりやすく下の写真の「〇の数」を数えてみると、確かに、左(一人用)は「16」、右(二人用)は「20」だ………な。次回からは間違えることはなさそうである。

事件簿②「前夜の整置復習」
二つ目はこれ。
一つ目に比べたらかわいいもんだ。事件というより、「ちゃんとやっとけよアホ」というだけの話である。
OMMではコンパスを使う。周りの地形を見ながら現在地を特定できたら、マップにコンパスを当て進むべき方角を定める。あとはその「指針」に従って進軍していく。
つまり、コンパスが使えないとOMMでは戦えない。というか、話にならない。指針なき進軍は、瞬時にあの世行き(=遭難)となる。
OMMではコンパスがすべてだ。間違っても「勘に頼る」などという愚かな行為をしてはいけないのだ。
一つ、コンパスの大切さを痛感したらしい山友“世界のやまちゃん“のOMM参戦ブログから一部引用。
👉コンパス
つべこべ言わずにコンパスを出せ!
信じられるものはコンパスのみ!
コンパスの声を聞け!ってぐらい、キーアイテムです。
実際、コンパスをろくすっぽ見ないCPは、ことごとくロストしました。
反面、逐一コンパスで進路を確認したCPは、ほぼ読み通り取れました。これがOMMのすべてです❗️
事例↓↓↓
北に向かって尾根を降りたらええんやな😎よしっ!って、真っ直ぐ尾根を伝ってるつもりが、そのうち微妙に尾根が分かれていることに気が付かず、東に降りていた。真っ直ぐ歩いてるつもりだった。。。
が、一番危険です。
山の麓で!〜At the foot of the mountain!〜
なので、方角はこまめに確認すべきですね。これぞ学び。コンパスなくても方角とか進路が判るという人も稀に居ますが、自分の場合は、感覚なんてあてにならないことが分かりましたw
このレポに対しまったくもって異論なし。まさにその通り。コンパスがすべて!

これほどまでに重要アイテム且つ使いこなせないと話にならないとわかっているこの「コンパス様」の使い方を、僕はレース前夜(しかも深夜ベッドに入ってから)の“一夜漬け“で復習した。
もとい、「一夜漬け」なら夜中から朝にかけて数時間は学ぶことになるが、もちろん僕の一夜漬けは「15分程度」であり、まったくもって“漬物”ではない。しかもさくっとYoutubeで。
そもそも「せいち」という字が「整地」だったか「整値」だったか、どの漢字が正解だったかがまずもってうろ覚えで、WEB検索の入り口から手こずったのはここだけの話だ。(正解は「整置」)
ちなみに去年は「レーススタート直前」に復習をしたので、それが「前夜」になったことは大きな成長と言える。しかも今年はYoutubeを活用するというイノベーションっぷり。どうだ、現代っ子だろ?
ブログという活字メディアをやっている人間がいうのもなんだが、文字で見るより圧倒的に理解しやすい。とりわけ「整置」に関してはなおさらそれを実感。一応OMM参戦は3回目であり、コンパスの使い方もゼロスタートではないので、YouTubeの映像により、比較的スムーズに勘を取り戻すことができた。
去年はレース中に「整置ってどうやんだっけ?」と相方に質問をし、軽蔑の目とともに軽やかにスルーされたものだが、今回のレースではそんな愚かな質問をすることもなく、無事に2日間コンパスを使い倒すことができた。
長くなってきたので一旦ここで区切ろう。でも事件簿はまだ終わらない。
今回は本記事のタイトルの通り、「お前アホやん編」だったが、次回は「不可抗力編」をお届けする。
▼参戦レポ①②はこちら


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