さて、時系列レポはついにレースに突入。まずはDay1。
まぁDay1とかいっても、レース戦略によって寝るタイミングが必ずしも夜ではなかったり、そもそも寝ないで突き進んだりと、選手によってさまざまなので、どこがDay1でどこからがDay2なのかの境目は正直曖昧。
なのだが、今回僕らはDay1、2ともに一応夜に”仮眠”を取ったので、そこを区切りとしてDay1、2、3と分けてレポートしていく。
初日は7/12 0:00に青梅をスタートして、将監小屋に到着するまでの約57㎞。時間にして約20時間だ。
▼レース直前までの様子はこちらをどうぞ。
コースを高低図で振り返り
まずはコースを高低図で振り返っておきたい。
以下は分水嶺トレイル120㎞の全貌。初日に進んだのは2枚目序盤12㎞地点あたりにある「将監小屋」まで。
ご覧の通り、初日はスタート地点の青梅(標高230mぐらい)から45㎞をかけてジワジワと高度を上げ、東京都最高峰の雲取山(標高2,007m)を超え、奥秩父主脈縦走のルートを辿っていく。
ちなみに1枚目と2枚目を比較して「あ、2日目は1日目より全体的に高度低いのね」などと思うなかれ。左側の高度のメモリをよくよくご覧いただきたい。そもそもの基準が違う。
2日目に越えていくのは「甲武信ヶ岳」「国師ヶ岳」「金峰山」といった2,400~2,600m級の奥秩父の名峰たちだ(いずれも日本百名山)。つまり、2日目もガンガン登るのだ。3日目は高度こそ稼がないが、笹薮地獄の読図区間。
分水嶺トレイルの累積標高は公表値で12,000m。この高低図を見れば納得がいく。 これが分水嶺トレイルだ。
青梅(スタート)から将監小屋
ということで、Day1を一気に振り返る。
基本的に僕はこんなレースレポートを書いてはいるが、記憶力が弱いので正直レースの半分も覚えていない。そのため、うろ覚えの断片的な記憶と、元気な状態の時にスマホで撮影した写真(とその撮影時刻)を頼りに振り返る。
つまり、話半分で読み進めてほしいのと(おいおい、そんなんでいいのか)、断片的な記憶な部分は一気に話がすっ飛ぶことを、予めご承知おき願いたい。
7/12 AM0:00 青梅スタート
0時に青梅をスタートしてからしばらくは、青梅高水トレイルランのコースを辿る。雨は降っていない。気温も低めで快適。ズンズン進む。 序盤は元気そのもの。 パワーウォーク炸裂。
ある程度バラけてきたところで、とある選手を抜こうとした際にその方(O氏)から「夫婦でブログ書いてる方ですか?」と声を掛けていただく。これが僕らにとっては幸運だった。
スタート前に寝てきたとはいえ時刻は深夜。雲取山までは本番と同じ0時スタートで一度試走したのだが、試走の時は案の定、夜明けまで睡魔に襲われた。今回もそれをある程度覚悟していたが、眠気対策に最も効果のある対策は「人と話すこと」である。
この後、ほぼ夜明け前までO氏とはいろいろと話しをしながら一緒に進んだ(というか引っ張ってもらった)。
O氏は去年も分水嶺に参戦している「ブンスイラー」であり、今回が2回目。心強い。今年はなんとトルデジアンに出るらしい!(トルデジアン:毎年9月にイタリアで行われる全長330km、累積標高差24,000mのトレイルレース)
最後はO氏に徐々に離されたが感謝感謝である。今回の分水嶺は途中体調不良によりDNFとなってしまったようだが、トルデジアン是非頑張ってほしい!
7/12 5:00 棒ノ峰(棒ノ嶺)(スタートから5時間経過)
ブログ冥利に預かり、試走時よりいいペースで進み、棒ノ嶺には5:00頃到着。
で、これ(笑)
断っておくが、これは辛くてぶっ倒れているわけではない。
毎度ロングレースのレポートでは書いているが、「戦略的仮眠」だ。
先はまだ長いのだ。この後絶対に眠くなるのはわかっているので休めるときに全力で休む。これが120㎞を戦い抜くための個人的な作戦である。(この時も棒ノ嶺のだいぶ手前でO氏と離れてからは眠気が来ていたのは事実だが…)
レース後にこの写真をTwitterであげたら「生で拝見しましたw」とのコメントをフォロワーさんからいただいた…それはそれはお恥ずかしいところを…。
ちなみに写真を撮ってくれたのは、僕なんかより走力も山力もすべてが格上のトレラン仲間の高島さん。過去、分水嶺3度出場の正真正銘のブンスイラー。今回は選手 兼 カメラマンとして一眼レフを持ちながら選手たちを撮影するスタイルで見事完走。あっぱれ。
眠気対策についてまとめたアレコレは下記参照。
【UTMFに向けて】ただいま連戦連敗中。ウルトラトレイルにおける「眠気対策」(その①)
【UTMFに向けて】ただいま連戦連敗中。ウルトラトレイルにおける「眠気対策」(その②)
【UTMFに向けて】ただいま連戦連敗中。ウルトラトレイルにおける「眠気対策」(その③)
7/12 8:40 一杯水(水場)(スタートから8時間40分経過)
棒ノ嶺の戦略的仮眠でエネルギーを充填し、再出発。まだまだ序盤。ぐんぐん進む。
…が相方がこの辺りから本領発揮してくる。僕もある程度頑張って歩いているのだが、なぜだか徐々に間が広がる。視界から消えていく。
山猿の分析では、歩く速度はたいして変わらないのだが、相方はとにかく休憩が少ない。休まずぐんぐん進むもんだから、こちらが少しでも立ち止まって補給をしたり、スマホで撮影をしたりしているとあっという間に突き放される。
(ちなみにスマホで撮影した画像は相方のブログにも提供しているので、そこは感謝してほしいものだ…。はい、愚痴発動w)
冒頭に「気温も低め」と書いたが、湿度が高く序盤から発汗量は多く、日向沢の峰などの急登では尋常じゃなく汗をかく。水はどんどん減っていった。
一杯水の先にある酉谷非難小屋までいけば、ジャブジャブと大量に水が出ているのは知っていたが、ここで水を足しておかないともたない。
僕がここに到着したときには先に3~4人がいて、このチョロチョロの水量で順番に補充をしていたので、自分の番がくるまで10分以上足止め。まぁ仕方ない。水は命のようなものだ。(選手の中には”補充渋滞”を見て、悩んだ挙句、補充をせずに先に進む選手もいた)
すると、先に行っていたはずの相方が突如現れる。
え?なぜ??
どうやらロストしたらしい(笑)それはそれはお疲れ様。
その後相方もチョロチョロの水で補充をし、その時間も含めここでたっぷり休憩時間を確保した僕は完全復活。相方と再び合流し先へ進んだ。
その後、いつの間にかまた視界から消えていった相方の背中を追いかけ、黙々と孤独に進む。
雲取山手前の難敵、芋の木ドッケまでのクソ長いとてつもなく長い登りに辟易しながら、なんとか登り切る。(試走してるはずなのに、初めてこの登りに対峙したかの如くのあまりの終わらなさに自分の記憶力のなさを嘆いた)
芋の木ドッケから下ると、いよいよ雲取山が近づいてくる。
この辺りはよくシカと遭遇するのだが、今回も幸運にもシカさんはその顔を見せてくれた。というか、人に慣れ過ぎててこいつらまったく逃げない。
しばし、シカとにらめっこと撮影タイム。
7/12 14:40 CP1 雲取山荘(スタートから14時間40分経過)
相方に離されること20分ぐらい(?)、1つ目のチェックポイント「雲取山荘」に到着。
この相方からの”遅れ”が、単なる力量不足なのか体調不良なのか、自分でもいまいち掴めずにいたが、相方には「ちょっと体調悪いかも」と、とりあえず体調不良のせいにしておく(笑)
後日談だが、2日目の体調不良の前兆はこの辺りから始まっていた気がする。 実際この辺りから若干熱っぽかったのは事実。
相方が登りに強いのとパワーウォークが速いのは当然わかっていたが、それにしても離されるし、全く追いつけないのだ。別にめちゃめちゃ体調が悪いわけではないが、何かがおかしい。なんだろう?
とりあえず山荘で提供されていたカップヌードルを買ってかき込んだ。うまい。
(ちなみに僕が雲取山荘に着いた頃には、相方はすでにカップヌードルを食べ終えていた。ちっ。)
滞在時間30分程で雲取山荘を出発。
この頃から雨が本格的になってきた(気がする)。
雲取山荘以降は正直あまり記憶がない。疲れていたのだろう。写真もない。
雲取山荘は相方と仲良く出発したのだが、案の定、途中から徐々に引き離されていく。 とりあえず雨の中黙々と進んだ記憶がある。
ここは記憶がほんとにないので相方のブログを参考にしよう(笑)
【レースレポート】分水嶺トレイルBコース(2019)参戦記③ーDAY1 スタート~将監小屋ー
7/12 18:15 将監小屋到着(ビバーク1回目)(スタートから18時間15分経過)
雲取山荘を出て延々とトラバースを歩き続けて4時間以上。(相方ブログによると)19:30頃に将監小屋に到着したらしいが、僕は遅れを取っていたので、おそらく20:15頃に到着したのではないか。
元々のプランではこの先の雁坂小屋まで行く予定だったが、雁坂の到着が遅くなりすぎるとテントが張れないとの情報を仲間から受け、今日はここでビバークすることに。
正直ほっとする。普通に眠いし、さすがに疲労感も出てきていたので、一度休息を挟みたかった。
この頃には雨足もそれなりで、天候は普通に「雨」の状況。
そんな雨降る中、ツェルトを張る。一度しか練習していない影響がモロに出て、スムーズに張れない。段取り悪く手間取る。たぶん20分ぐらい掛かった(笑)これぞ、ダメダメブンスイラー。
なんとか張れたツェルトもテンションががうまく掛かっておらず、形状もイマイチだったが、もはや張り直すスキルも気力もなかったのでそのままin。
中に収まってみると、ダメダメにしてはまぁまぁな空間だなーと思ったものの、この点は大いなる反省点。もっとスキルアップが必要だと痛感。(というか基礎中の基礎。身についていない時点でNGである。)
雨の中のビバークは本当に過酷だ。一刻も早く濡れる状態から脱したいのに、当然ながら出来上がったテントに入るときには、自分はびしょ濡れ。
濡れた状態でテント内に入るときの”残念な気持ち”は経験したものにしかわからないだろう。
ちなみに、僕が手間取ってる間に相方は先に仮眠に入っていたが、相方は相方で入眠後にツェルトの支柱となっているポールを倒され、テントが倒れる(=目覚める)という憂き目に合ったようだ(笑)(雨で濡れたツェルトが寝てるときに覆い被さってくるとか本当に悲惨だ…)
これも経験。良き経験。
分水嶺ってやつは、マジで山の経験値を上げてくれるぜ、このバカヤロー。
最後の一文でテンションがおかしくなったところで、Day1のレポートは終わりとする。
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